2016年10月19日水曜日

ファシリテーションの技法:ミラノ派家族療法を応用する(その8)


                                                                                                                            
 今までと違うことを考え、違うことをしているかも?

 と、今までの枠組みに挑戦するようなことを

 それとなく、イメージしてもらうこと自体が《介入》の第一歩(笑)。
 

 <ひとりごと>



組織の風土、思考、行動を変える介入の前提

  備忘録として書いておく。

 最終的には、組織の風土、思考、行動を変えたいのだが、その源流となる人類学のグレゴリー・ベイトソンやマーガレット・ミードのフィールドワーク、そして技法としての心理療法家のミルトン・エリクソンについて・・・

催眠は介入ではない》心理療法家のミルトン・エリクソンについてネットで調べていると、色々な意味で面白い事案にぶつかる。ひとつは、「催眠に過度な期待を持ちすぎる」ということだ。

 これについて、エリクソン自ら「催眠が奇跡を起こせるわけではない[1]と講演で語っている。また、エリクソン自ら「催眠それ自体が何かをすることはありません[2]と語っている映像がある。

 もちろん、同時に「催眠はクライアントにうまくいくための情緒的雰囲気を与える」[3]とも語っている。これについて家族療法家のイブ・リップチックのエッセーを引用して書いた。

 簡単に言うと、心理療法家の門を叩くクライアントは最初は不安に満ちており、こういった不安が自由な発想や行動を妨げている。あるいは、いつも否定的な将来や結末のみ焦点が当てられてしまう、ということだ。

 エリクソンはこの不安を取り除き、否定的でない将来や結末もありますよ、それがあるとしたら、どんな感じ?というところに焦点を当ててもらえるように情緒的雰囲気、有り体に言えば「気分」を変えてもらうためにだけ催眠を用いたということになる。ここでの結論は、「催眠は介入ではない」「気分を変える方法は催眠以外にもある」になるだろう。

暗示は介入ではない》『ミルトン・エリクソン心理療法<レジリエンス>を育てる』[3]の中の孫引きだが以下がある。おそらく引用もとはこのあたり

エリクソンが一度としてぶれたことのない領域は、「治癒」の捉え方であった。これは彼が麻痺を克服したという体験からきているのではないかと思う。彼は青年のころ、体験的なリソースが変化を発生させることを学んでいる。早くも1948年には、直接暗示がなんらかの形でクライエントに影響を与えるけれども、治癒はそういた直接暗示の結果ではなく、その問題のコンテクストで必要とされる体験を再結合によって生じるものであることを認識していた。

 つまり、簡潔にいうと「暗示は介入ではない」ということだ。暗示に不思議な力があると考えてはいけない。単に、エリクソンはこれから行動を起こすために必要になるための過去上手く言った思考やその枠組み、感情、情動、行動、言葉などを含む経験を再編集して再結合したものを、未来に起こる「変化」や「治癒」のためのリソース(資源・資質)として活用するために独特の言語パターンを使っていたことになる。逆に言うと、コンテクストを離れた「私はうまくいく」みたいな念仏を何万回唱えてもあまり意味がないということを暗に示唆していることになる。

 「体験の再結合」は、ソリューション・フォーカスト・アプローチの「コーピング・クエスチョン」[4]で定式化されているところでもあるが、最終的には過去の枠組みの延長ではなく、メタファーをつかった「アブダクティブなロジック」[5][6]によって枠組みを超えた対処方法を見つけるのが理想だ。

催眠なしでも介入は可能》ミルトン・エリクソンを研究した米国カリフォルニア州パロアルトのMRI (Mental Research Institute)[7]の研究者たちは、エリクソンの技法をその1)戦略性、2)コミュニケーションのやりとり、の2つに還元して考えたが、一番の功績は、催眠なしでも適切な介入(具体的には、適切な質問とリフレーミング)があれば、変化は可能だと示したことだ、詳細はこのあたりで書いた。ただし、状況設定とサイバネティックスにより全体的な視点を考慮した、介入や逆説的介入には注意が必要だ。

全体論的視点がない介入は要注意》この反面教師として、中途半端にMRIをパクったNLP(神経言語プログラミング)にグレゴリー・ベイトソンが激怒した話も書いた。 理由は、サイバネティックスの視点がまったく足りなかったということだ。[8]  余談だが、その後、NLPは学術研究が行われていないこともあり、まともな大学などでは無視されている。その大きな理由は、エビデンスがない。技法が冗長で体系的でないということだ。学術的には普通の大学では短期療法ならMRIかソリューション・フォーカスト・アプローチの何れか、両方が教えられているということになるだろう。最初は、これで十分だからだ。

 「サイバネティックス的な全体性を考慮しないと何が起こるか?」、あまり大きな声では言えないが、NLPは、組織や人間関係に介入する方法が明示されていないために人間関係を壊す人が多発するという副作用があげられるだろう。

 創始者のリチャード・バンドラーが殺人に関与した疑いで逮捕されたり[9] その弟子で催眠術師として活躍しているポール・マッケンナが現在進行形で激しく身を持ち崩している姿を見るととこれが確信に変わる。[10] 余談だが、バンドラーのケースは、意図的ではないのだろうが、陪審員がベイトソンのダブルバインド(二重拘束)に陥って無罪になった。簡単に言うと、その家にいて射殺された1人の被害者と2人の容疑者がいる、ひとりはバンドラー。使用されたのはバンドラーの拳銃。容疑者は2人とも同じように疑わしいし、どちらか一人が犯人なのは確実だがそれが決められない、故に2人とも無罪になったということだ。[11]

 逆に、メンタリストのデラン・ブラウンが英国を出ずテレビやショーを行わない時はひっそり隠遁生活を送っている様[11]を読むと、この人は物事が分かっている人だと納得するところでもある。おそらく、ベイトソンはサイバネティックスの視点から何かしら、方法論の欠陥を見通していたのだろう。

 さて、余談とおしゃべりが過ぎた(笑)。

MRIを継承する一つの流派》で、MRIの研究成果は、イタリアのミラノに渡りパラツォーリらによってベイトソンの理論に忠実に定式化されたのがミラノ派ということになる。[12]

特徴は少し独断と偏見だが以下となる。

・ベイトソンの理論、(第二次)サイバネティックスに忠実
・催眠を必要としない
・組織や家族の問題解決が可能
・人と人の関係に働きかける技法
・質問とリフレーミングだけで変化を導く
・形式知として学べる

で、個人的には、ここから構成主義やオートポイエーシスにつながるといった趣味の世界を満たせるということがある(笑)。昨日、寝る前にベイトソン関係のエッセーをちょい読みしていた。[13] お題は 「the pattern that connects (結ばれ合うパターン)」というヤツだ。そこにベイトソンのこんな引用がある。
To want control is the pathology! Not that the person can get control, because of course you never do... Man is only a part of larger systems, and the part can never control the whole...
コントロールしたいのは病気以外の何ものでもありません! 人はコントロールすることはできないのです、もちろんあなたにも決してできないのです、理由は人は大きななシステムの一部でしかなく、そしてその一部は決して全体をコントロールできることはないからです。 
これを語るには、まず、コントロールとは何か?をサイバネティックス的に定義する必要があるのかもしれないが、ベイトソンが暗に「身の程を知れ!」と言っているとしたらなかなか身につまされる話でもある(笑)。もちろん、ミラノ派のセラピストによる介入の出発点がここにあるのは言うまでもない。

 さて、ウンチクが過ぎた。

で、具体的なミラノ派の「介入」については明後日以降書くことにする。

(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/09/blog-post_68.html
[2]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/06/blog-post_56.html
[3]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/07/blog-post_1.html
[4]http://ori-japan.blogspot.jp/2012/10/blog-post_28.html
[5]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/08/blog-post_23.html
[6]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/07/the-power-of-six_5.html
[7]http://ori-japan.blogspot.jp/2015/12/2015.html
[8]http://www.independent.co.uk/life-style/health-and-families/healthy-living/messing-with-your-head-does-the-man-behind-neuro-linguistic-programming-want-to-change-your-life-1774383.html
[9]http://www.dailymail.co.uk/news/article-3750971/The-torment-McKenna-legendary-self-help-guru-puts-record-straight-accused-ex-drug-fuelled-spiral-porn-prostitutes.html
[10]https://books.google.co.jp/books?id=DOcDAAAAMBAJ&pg=PA22
[11]http://www.belfasttelegraph.co.uk/entertainment/news/derren-brown-performers-can-be-shy-and-despite-my-dramatic-stunts-in-reality-i-truly-do-not-like-the-attention-35064763.html
[12]http://www.slideshare.net/virupakshahs1/milan-school-of-family-therapy
[13http://www.global-vision.org/papers/PatternThatConnects.pdf


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