2016年10月21日金曜日

ファシリテーションの技術:ミラノ派家族療法を応用する(その10)


                                                                                                                            
 ミルトン・エリクソンの技法をそのまま使うとどうしても怪しくなる。

 が、MRIやミラノ派をくぐらせると、やることは〈質問〉と〈観察〉だから

 あら不思議、企業や団体が既存の枠組みを超えて新しい振る舞いを身に付ける

 ためのファシリテーションとして使える技法になる(笑)。


 <ひとりごと>



〈介入〉=〈円環的質問〉+〈反応の観察〉

  備忘録として書いておく。

これまでの経緯》ここまでの経緯を少し復習しておきたい。

 ミラノ派家族療法が心理療法家のミルトン・エリクソン→ MRI(Mental Research Institute)を起点していることは書いてきた。[1] この技法が面白いのは、本来怪しいと思われているエリクソンの技法について、人類学のグレゴリー・ベイトソンを含むMRIの研究者がサイバネティックスを持ち込み、怪しくない方法で形式知化を試みたことだろう。このあたりから、エリクソンの技法がカール・ポパーが言う「科学的」に扱うことので出来る心理療法の技法に変わることになる。

 また、MRIのポール・ウォツラィックらが示したのは、「催眠を使わなくてもエリクソンがやっていたのと同じことは大体できる[2]、ただし、適切な状況設定と適切な介入があれば、としたことだろう。要は、重要なのは催眠導入ではなく、クライアントに対するシステム論的な介入のほうだったというわけだ。もちろん、クライアントをよく観察し、治療的ダブルバインドを駆使し、パラドクスを使い倒す逆説的介入をやっていたところから推測すると、エリクソンはそれが分かっていた、ということなのだろう。

  そして、MRIの技法がイタリアはミラノに渡りベイトソンの考え方に再度忠実にリモデリングされたのがミラノ派家族療法ということになる。独断と偏見でその特徴を以下のように書いた。

・ベイトソンの理論、(第二次)サイバネティックスに忠実
・催眠を必要としない
・組織や家族の問題解決が可能
・人と人の関係に働きかける技法
・質問とリフレーミングだけで変化を導く
・形式知として学べる

介入の考え方》外交などの影響なのか、「介入」と言ってしまうと強権を発動して力で抑えるというイメージがあるが、心理療法の「介入」は少し違う。これがミラノ派の「介入の考え方」[3]を読むと、これが結局は、誰にでもできるが、上手くやるには工夫が必要な〈質問〉と〈観察〉でしかないことが、よく分かってくる。


 要約は以下になる、



 まずは、介入は違いをつくるために新しい情報をもたらすということだ。まず、円環的質問を活用していることは、ベイトソンの「The pattern that connects (結ばれあうパターン)」の実装、そして違いをつくるのは、同じベイトソンの「A difference that makes a difference 」の実装と考えてよいだろう。

 また、質問することでリフレーミングを行わせる。余談だが、リフレーミングはMRIのポール・ウォツラィックらははじめて定義したとされている心理療法の技法だ。[4]  これを円環的質問にのせるような形式で行う。

 また、抵抗を避けるために間接的に示唆するような形式にするのは、おそらくエリクソンの技法からの継承だ。[5] もちろん、エリクソンは逆説的に抵抗を変化の推進力として利用した。[6]

   また、次に気づくの「見立て」の重要さだ。これは、一般意味論で言われている「意味反応: Semantic Reactions」[7]のような言葉つまり質問に対する、家族構成員のそれぞれの反応をよく観察しなさい、ということになる。もちろん、ここでウォルター・キャノン[8]から持ち込まれたシステムの恒常性としての現状維持から変化することへの抵抗。また、認知科学で言われる(基準枠:Frame of reference)[9]として新しい枠組みを受け入れられるかどうかをテストするようなことになる。

 もちろん、エリクソンならこういったところで抵抗を逆手に取る逆説的介入を行うことになるのだろうが、もちろんミラノ派でも普通に使う技法であることは言うまでもない。

(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/10/blog-post_19.html
[2]http://ori-japan.blogspot.jp/2012/01/blog-post_23.html
[3]http://www.aamft.org/members/familytherapyresources/articles/86_jmft_2_11
[4]https://helda.helsinki.fi/bitstream/handle/10138/22824/seeingth.pdf
[5]http://ori-japan.blogspot.jp/2013/03/blog-post_12.html
[6]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/07/blog-post_14.html
[7]http://communication.ucsd.edu/research/berman/contributions.html
[8]https://en.wikipedia.org/wiki/Walter_Bradford_Cannon
[9]https://en.wikipedia.org/wiki/Frame_of_reference

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