2017年2月11日土曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 42日目


                                                                                                                            
 ロジカルに事実を指摘できても、

 その倍返しで抵抗を受けたら意味がない(笑)。


 <ひとりごと>



はじめに

  備忘録として書いておく。


 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1]を読んでいる。読み方のルールはここ。それで、42日目の進捗などを書いておきたい。

 読み方のパターンも色々実験しているが、以下がよい感じだ。

  • 意識ー無意識のダブル・バインドの学習パターンを唱える
  • 寝る前に予定の範囲をまず何回か読む、メモをとる、寝る
  • 朝起きてもう一度読む 、まとめる


マイ・フレンド・ジョン技法+サプライズ技法
 
 今日は、「The “Surprise” and “My-Friend-John”Techniques of Hypnosis」のつづきから。

 まず、この論文では、4回の誘導を行っている。で、それぞれのパターンについて解説されている。細かい話は置いておくにして、基本的に使っている技法は、①間接暗示、②マイ・フレンド・ジョン技法、③サプライズ技法だけだ。それで、相手は基本的に医師をはじめ医療従事者であり教育水準も高い人達。また、論理的に催眠現象を理解しており、自分は決して催眠にかかることはない、と信じている被験者が対象となっている。ある意味、一番厄介な被験者かもしれない。

 この論文で面白いのは、エリクソンが被験者を誘導する「手がかり」を上手くみつけ、これを非常に上手く利用している点だ。

 この「手がかり」は、システム思考でいう「レバレッジ・ポイント」つまり「てこの視点」や「変化のためのおへそ」になるだろう。何はともあれ、エリクソンはこの「手がかり」を見つけて利用するのがとても上手い。エリクソンはこの「手がかり」をつかって、システムの状態や認識あるいは知覚の変化を支援する。また、この「レバレッジ・ポイント」は非常に精緻に見つけるのだが、これを利用する時は、曖昧な言葉を使い、かつ間接的に利用しているところが格好がよいところなのだろう。


考察
 
 筆者の考察のつづきを少し書いておきたい。

《ポジティブ・フィードバック・ループ》

 エリクソンのトランス誘導に対して、サイバネティクスの枠組みを当てて観察する。エリクソンは以下を行っていると推測される。



  1. 被験者の「動き」や「認識」をよく観察する
  2. 小さな「手がかり」を捉まえる
  3. 「動き」や「認識」がポジティブ・フィードバック・ループになるように抵抗を避けて誘導する
  4. 被験者の反応によって随時対応を変える
  5. さらに、「動き」や「認識」がポジティブ・フィードバック・ループになるように抵抗を避けて誘導する
  6. 被験者はトランス誘導され、催眠現象が引き起こされる
 
ここで、フィードバック・ループを簡単に解説しておく。これは、以下の2つがある。
  • ネガティブ・フィードバック・ループ
  • ポジティブ・フィードバック・ループ
ネガティブ・フィードバック・ループは、ゴールに対して偏差が収束するように回すループ。例えば、室温を23℃と設定したら、23℃をゴールとして、寒い場合は温め、暑い場合は冷やすような制御になる。目的はシステムの安定。PDCAと言われるデミング・サイクルはこちら。

 ポジティブ・フィードバック・ループは、ゴールに対して偏差が拡大するように回すループ。例えば、レーシングカーで、平均速度が可能な限り速くなるように走れ、というような制御になる。目的は現状からの逸脱。ただし、制御できなくなってシステムが壊れるリスクはある。

 話をもとに戻すと、エリクソンは、「動き」や「認識」を暗に「もっとやれ」「もっとそこに焦点を当てろ」のようなポジティブ・フィードバック・ループを利用していると思われる。もちろん、ここではシステムと言っても生き物を対象にした第二次サイバネティクスのシステムの状態制御のメタファーとして持ち込んでいる。

《間接暗示を使う》

 エリクソンは、間接的なものいいが得意だ。日本語で言ったら「ほのめかす」「含み」というような表現になるだろう。目的は、変に「言挙げ」して抵抗を受けないようにするためだ。エリクソニアンのスティーブ・ランクトンの資料[2]によると間接暗示を使うための6つの形式が示されている。何れにせよ、この暗示は戦略の枠組みの中で使うことになる。つまり、現状→理想へどう到達するか?ということだ。理想は、ポール・ウォツラィックの言った「現状の枠組み」を超えた二次的変化(Second-Order Change)ということになる。もちろん、「現状の枠組み」を超えるにはポジティブ・フィードバック・ループでプロセスを回す必要がある。


間接暗示の種類
説明
オープン・エンドの暗示
一段抽象度を上げた曖昧なことを言う
前提/含み
前提やゴールに対する声明を言う
注意への焦点化
ゴールに対して「〜かも」「〜かどうかは分からないが」と言う
トゥルーイズム
「すべての人は」「誰でも」などを使ってゴールを表明する
可能性のある全ての代案
A、B、C、あるいはその他の方法でゴールを達成できる
正反対の羅列
「変化」や「プロセス」を使ってゴールと反対側にあることを羅列する
 
2月11日の進捗、336ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 12.7%) 

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion

The “Surprise” and “My-Friend-John”Techniques of Hypnosis: Minimal Cues and Natural Field Experimentation Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, April, 1964, 6, 293-307.


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html
[2]lankton.com/handouts/suggestion.pdf

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