2017年2月19日日曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 50日目


                                                                                                                            
 「悪のバインドを善のバインドでやっつけろ!!」

  説明としてはありかも(笑)。

 本当は、単純な二元的な見方でダブル・バインドにハマるのだが(笑)。

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 <ひとりごと>



はじめに

 備忘録として、

 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。 

 はじめてから50日になった。それで、400ページを読んだ。はじめから、ゴールは設定していない。だから、何ページ読んだかにも大した意味はない。むしろ読みながら意味を見つけている。

 見つかったら、ラッキー。もし、見つからなくても、それはそれでラッキー。いつ投げ出してもOK。でも投げ出してはいない。投げ出す気もしない。少しづつだが面白くなってきたからだ。いや、ほんの少しだけ面白くなるように意図して読んでいるからだ。熱しやすく冷めやすいではない。ほんの少しだけ温めるつづける。だから冷めることもない。いつかは、ヘンテコだがヒナが孵るかもしれない(笑)。もちろんこれはメタファーだ。こんな感じで「ゆ〜っくり」進んでいる。

色んなダブル・バインド

 「Varieties of Double Bind(1975)」というタイトルの論文の続きから。

 現在、この論文が収録されたロッシとの共著の「Hypnotic Realities」[2] は「催眠の現実」として2016年に邦訳、出版されている。したがって、当該論文を含め日本語で読むことも可能になっている。

 この論文を読む上での前提とウンチクは、このあたりでも書いた。

 ダブル・バインドは摩訶不思議な概念だ。日本語だと『二重拘束』と訳される。単純化すると「退くも地獄、進むも地獄、そこから逃げられない」・・・という状態だ。人類学者のグレゴリー・ベイトソンたちは、ある人がこの状態に陥り、継続すると、統合失調症の原因に成り得るとして研究を進めた。これが『統合失調症的ダブル・バインド』単純化してレッテルを貼ると『悪い縛り』だ。

 一方、この研究の元になったエリクソンのダブル・バインドがある。「退くも成功、進むも成功、どっちに転んでも成功・・・え”」というエリクソンの技法としてのダブル・バインドだ。これが『治療的ダブル・バインド』で『善の縛り』ということになる。

 単純化すると、『悪い縛り』を『善の縛り』でやっつける、めでたし、めでたし、というのがここでの大きな物語になる。そのような物語を胸にいだいて読んでみることにする。

《事例4》
 
 ほうれん草を食べるの渋るエリクソンの息子にほうれん草を食べるように促す話。このあたりは東大院の入試に出ていた気もする。要は、エリクソンがダブル・バインドを使ってそれを促すというお話。

《ダブル・バインドの適用についての7ステップ》

 おおまかな指針が書かれている。もちろん、エリクソンは個々人に合わせて使っていた。詳しい内容はここでは書かない。

《ダブル・バインドの種類とラッセルの論理階型》

 要は、クラスとブクラスのような集合論の話。ベイトソンたちは、この数学や集合論で適用される概念を用いて Theory of Mind を構築し、エリクソンの技法もそれを適用して研究した。特に重要なのは実体レベルの話と、想像妄想のメタレベルが違うという話。犬が嫌いな人は実際に犬から追っかけられても怖いが、そう想像しただけでも怖い。人は恐怖を怖がることが出来る。これがメタレベルの話。恋に恋してなんていうのもある。だから物理的な実体では何も問題ないが、もし〜したどうしようで怖がることができる。あるいは、相手も定かではないのに恋に恋することができる。はっきりって人間は変な生き物だ。それで、これがダブル・バインドの理論の一つのベースになっている。

《種類:同等選択肢からの自由な選択》

 前後するが、ダブル・バインドを例示。種類としては、一見、同じような選択肢からクライアントが自由に選んでいるという幻想のもとに選んでもらうという形式のダブル・バインド。同等と書いてあるから、小麦粉100gと金塊 1kg のような極端に違う選択肢ではないことを示唆。

《ダブル・バインドにおける意識ー無意識の関係性》

 重要なことは、意識している小さな部分と、意識されていないもう少し大きな部分があるというような示唆を含んだ形でエリクソンは「意識」「無意識」という言葉を使う。これは、「無知の知、無為の為」にもつながる。

 で、次に以下の種類を解説。このブログのどこかに書いた。要は、実体レベルとメタレベルの認識の齟齬を上手く使うという話になってくる。

《種類:時間のダブル・バインド》
《種類:リバースセット ダブル・バインド》
《種類:不合理なダブル・バインド》

《分裂生成のダブル・バインド》

 これは、ベイトソンのダブル・バインドとエリクソンのそれの比較。これも上のリンクで書いた。このあたりは、ベイトソンがニューギニアのイアトムル族を対象に行ったフィールドワークがもとになっている。このあたりは、なぜ、組織がくっつくのか?なぜ組織が分裂するのか?のような組織開発の話にもつながってくる。このあたりを理解するには、ベイトソンの「Naven」を読む必要がある。また、ここから家族療法でAさんとBさんの関係性に働きかけるのような話になる。個人的にはミラノ派家族療法の技法で対応している。


考察 

 ダブル・バインドは極論すると変化のための禅問答ということになる。実際、ベイトソンやヘイリーはエリクソンの技法に禅との共通性を見ている。だから、質問や言葉の中に矛盾を含んでいるのはあたりまえ。矛盾に矛盾をぶつけて現在の認識の枠組みから出てもらうカウンター・パラドクス介入を使うということでもある。これは個人的に感じているエリクソンの格好の良さでもある。
 
2月19日の進捗、400ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 15.2%) 

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion

Varieties of Double Bind 
Milton H. Erickson and Ernest L. Rossi Reprinted with permission  fromThe American Journal of Clinical Hypnosis, January 1975, 17, 143-157.



(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html
[2]http://ori-japan.blogspot.jp/2014/03/hypnotic-realites.html

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