2017年2月27日月曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 58日目


                                                                                                                            
 学術論文を読みまくると

 エリクソンが何をしていたのかがよく分かる(笑)。

 今なら相撲の審判みたいに技の名前を使って物言いを解説できるな(笑)。

 <ひとりごと>



はじめに

 備忘録として、

 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 今日は、58日目について書いておきたい。
 

間接暗示と腕浮遊

 今日は、「 Indirect Forms of Suggestion in Hand Levitation」の続きから。1976-1978のエリクソンのほぼ晩年にアーネスト・ロッシに語られた内容のメモ。観念運動を利用したトランス誘導の一つである腕浮遊、それを間接暗示で行う。

 ここで、面白いことに気づく。それは、エリクソンが、おおよそ「Trance」という言葉以外は、被験者が五感で知覚できる言葉ばかりを使っている点だ。例えば、手が動くとか、重みを感じるとか、掌が上がるとか、掌が顔に近づくなど。もちろん、今起こっていること、これから起こるだろうことの違いはある。要は、被験者が事実として経験できることだけを言葉に出している。例えば、膝が掌の重さを感じてます、と言われ、被験者がそれを知覚していれば事実なので否定も抵抗もしようがないというわけだ。そして、腕が上がると肘が折れるのが分かります、のように動作に何らかの関係が存在していることを示唆する。

 逆にいうと、ここでは、砂浜の上を歩いているとか、森を歩いているとか、そういった想像や想起は使っていないということも分かる。被験者が何を想像しているのかは本人しか分からない。従ってこういった想起を使うのは案外コントロールが難しいということなのだろう。ちなみにコントロールもサイバネティクスの概念を当てると、情報なり何かの流れを①入口で絞る、②途中を制御する、③出口を絞るの何れかの組み合わせとなる。例えば、意図的に何らかの情報を与えない、というのは入口で絞るコントロールとなる。その意味この誘導ではエリクソンは入り口で知覚の焦点を絞るなり、のコントロールを行っているように思われる。

   トランスに導くためにエリクソンは Trance 、例えば going into a trance のような言葉を使っている。しかし文の構造から考えると、案外これは知覚できない少し難しそうな概念的なことであればtranceに限らず何でもよいのかもしれない。

 Youtubeに昨日とは異なる腕浮遊のトランス誘導の映像が落ちていた。撮影は1977年で場所はエリクソン宅だ。直接の映像リンクが禁止されてたので映像のリンクだけを貼っておく。映像の最初6分あたりまでは、Early Learning Set が使われているが、それから腕浮遊に移る。普通の人が視聴するとあまりにも退屈なのかもしれないが、何回も何回も穴の開くほど視聴することで何か見えてくることはあるのだろう。

https://www.youtube.com/watch?v=6cOMD9d6eZw

 さて、論文に戻って簡単なメモ書きを


  • 一連の暗示をヒッチハイキングする
  • 複合暗示で抵抗を回避する
  • トランス経験中の無意識の検索を実装する
  • 埋め込まれた方向性と散りばめられた暗示
  • ロジックよりも偶発性:受容的なトランス誘導
  • 思考と行動を分ける
  • 間接暗示を学ぶための練習 
 エリクソンは間接暗示を使う時非常に言葉を大事にしている。間接暗示について40ページのアイディアを書きつけ、それを20ページに絞り、さらにそれを10ページに絞り、そして厳選された暗示だけを使うという具合だ。


考察 

 個人的に、エリクソンの言語パターンを観察する上でいくつかあるうちの一つのフレームワークとして一般意味論の E-Prime を使っている。[2] これは TO-BEつまりBE動詞を使わないで表現するという概念だ。BE動詞を使うと、①身元照会、②クラスのメンバー、③包含されるクラス、③述語、④助動詞、⑤存在、⑥場所を表す。ただし、場合によってはこの境界が曖昧になることがある。これを明示するためにBE動詞を使わないで記述するというのが E-Prime の概念だ。

 個人的には、このE-Primeを五感で知覚できる動詞を使う場合と、知覚できない概念的な動詞を使う場合に分けて考えている。もっとも、Wikipedia を参照すると、認知言語学者たちからは色々批判もあるようなのでこのあたりは考えを深めるために考慮したいところだ。

2月27日の進捗、464ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 17.5%) 

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion

23.  Indirect Forms of Suggestion in Hand Levitation 
Milton H. Erickson and Ernest L. Rossi 




(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html
[2]https://en.wikipedia.org/wiki/E-Prime


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