2017年2月4日土曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 35日目


                                                                                                                            
 エリクソンの催眠は、単なる「演出」(笑)。
 
 <ひとりごと>



混乱技法、他について

  備忘録として書いておく。


 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1]を読んでいる。読み方のルールはここ。それで、35日目の進捗などを書いておきたい。

 それで、30日を過ぎたあたりからほとんど習慣になって、ほぼ無意識に読んでいるところがある。書いているほうも、いったい誰が書いているの?もしかして俺?(笑)となっているところがある。で、何れにしてもエリクソンの論文は論文というよりも色々な示唆が散りばめられていてアイディアやヒラメキが自然と湧き出てくるのは、面白いところだ。

さて、昨日の続きから、

《一本目の論文》

 一本目は、「The Confusion Technique」の続き。ここでは細かい技法は書いていないが、エリクソンがどのような経緯で混乱技法を開発したのかはよく理解できる。実際の技法については、エリクソニアンのスティーブン・ギリガンの「Therapeutic Trances」[2]の中で一章まるごと混乱技法の具体的な技法の解説に当てられているので、これを読むのがよいだろう。もちろん、日常生活や仕事の場面でも、ユーモアのある混乱技法でときよりボケてみる、というのも人間関係を円滑にする上では有効なのだろう。エリクソン財団のトレーニングガイドラインにも混乱技法は掲載されており、また、エリクソニアンを目指す12の練習(まとめ)でも、時に相手を困惑させることが必要だと書いた。(この理由は、今日の記事で後述した)。
 
《二本目の論文》

 二本目は、「The Dynamics of Visualization, Levitation and Confusion in Trance Induction 」というタイトルの論文になる前のメモ書きの寄せ集め。エリクソンが1940年代に書いたメモ書きを編者が整理したものだ。内容はタイトルどおりに、①イメージの想起、②腕浮遊、③混乱技法についての精神的な動力学についてのメモだ。

 以下がサマリーになるが、エリクソンの考え方を知るという意味ではとても参考になる。


Hypnotic techniques are no more than methods of communicating suggestions and ideas. In themselves they are of no particular significance. It is only the responses and the behavior that they stimulate the subject to make that have any value. Hence in describing a technique a primary consideration should not be a slavish presentation of verbalizations, but an effort to indicate the purposes to be served. Unfortunately the general tendency is to attach labels to a technique and then to use it in accord with the sometimes meaningless label.

催眠のテクニックは、示唆(暗示)や考えを伝達する方法にすぎない。 催眠それ自体は特に重要というわけではない。 催眠が何か価値のあるものをつくるように刺激するのは、被験者の反応と行動だけである。 したがって、技術の説明において、主な考慮事項は、言葉遣いを巧みに表現するのではなく、提供される目的を示す努力であるべきである。 残念なことに、一般的な傾向は、テクニックにラベルを付けて、時に無意味なラベルに従ってそれを使用することだ。


 
で、内容の簡単なメモ書きを少々。
   
《視覚化技法》

 何の変哲もない、心の中にイメージを想起させる方法。例えば以下がある。誰でも経験している学生時代のことなどが無難なのだろう。

 家ー男ー木 
 庭ー女ー日時計
 校舎ー先生ー生徒ー机ー黒板ーチョーク

腕浮遊技法》

 腕に限った話ではない。体全体の動きに連動していなければ、腕なり、指なり色々なバリエーションが考えられる。

   観念運動ではなく、実際に腕や指が動いているという不随意の感覚に被験者の注意を向けるのがポイント。ここでは詳細なトランスクリプトは書かれていないが、『Ericksonian Approaches 』の中に2つ浮遊に関するトランスクリプトが含まれている。

《混乱技法》
 
 これは1940年代に書かれたメモ書きで、正式には論文としては発表されなかったものだ。ここでは、それまで使ってはいたがはじめて文書として残す「混乱技法」という感じで書かれている。

 技法は、言語で行うパターンと、パントマイムのような非言語で行う2つのパターンがある。

 簡単にいうと、

  • 被験者は実験者によって混乱させられる
  • 被験者は答えを出したいがでない状態におかれる
  • 被験者はなんとも落ち着かない
  • そこで実験者が「〜してはいかがですか?」と提案をする
  • 被験者は批判や抵抗することなくその提案を受け入れる
 こういった構図になっている。音楽で言うと、「トニック→サブドミナント→ドミナント→トニック」みたいな、安定から不安定な状態に陥るとサイバネティクスのネガティブ・フィードバック・ループで安定状態に戻すような心の力が働くということになるのだろう。つまり、この安定に戻す力に合わせて「示唆(暗示)」や「提案」を行うと受け入れられやすいということになるのだろう。

 おそらく詳細はこの後の論文出てきたはず。(昔、Complete Works を読んだ記憶では・・・)


2月4日の進捗、280ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 10.6%) 

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion

The Confusion Technique in Hypnosis
Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, January, 1964, 6, 183-207.


The Dynamics of Visualization, Levitation and Confusion in Trance Induction
Milton H. Erickson Unpublished fragment, circa 1940s.



(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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