2017年2月8日水曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 39日目


                                                                                                                            
 「ライダー、キィーーーーーーーーーーック!!」

  普通、必殺技は気づかれたら必殺技じゃないから(笑)。

 <ひとりごと>



難事例の続き、

  備忘録として書いておく。


 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1]を読んでいる。読み方のルールはここ。それで、39日目の進捗などを書いておきたい。

 今日は、「An Hypnotic Technique for Resistant Patient」の続き。

 昨日も書いたが、要は、気難しいクライアントへの対処についてまとめられている論文。今で言ったら「モンスター・クライアント」への対処。

 もちろん、この論文は心理療法のコンテクストで書かれているが、その技法は日常や仕事の場面で気難しかったり、逐一抵抗を示している人とのコミュケーションへやクレーム処理への応用も可能だと思われる。

   抵抗についてはこのあたりで書いた。しかし、人間関係の抵抗には、論理的な説得だけでは上手くいかない感情、情動が入ってくるので面倒だ。また、こういったクライアントは他でたらい回しにされてやってくるような状況がある。つまり、他への文句が蓄積した上でやってくる。



昨日の続きから

 顔の右が麻痺している女性。ものを噛むと激しい痛みが走る。食事は流動食を採っている。大手の病院で診察を受けたが手術も投薬は最終手段であり、ただ耐えてくださいとい診断だった。女性の精神科の友人がエリクソンならなんとかなるかも、と言われてエリクソンのもとを訪れる。ただし、病院からは神経組織の問題であり、精神的な要因ではないと言われている。つまり、友人の医師のアドバイスでエリクソンのもとを訪れたものの催眠による心理療法は絶対に効果がないと信じている。

 エリクソンは女性の話を聞いて、通常の明示的な「催眠」は効果がないどころか抵抗や反発を増すばかりだと考える。そこでエリクソンはこの論文の最初で紹介した、間接的なアプローチ( Yes は縦に、No は横にクビを振ってもらうといった観念運動を利用したり、意識-無意識のスプリットや治療的ダブル・バインドや間接暗示など)を取ることにした。

 この女性は明示的な催眠状態にかかった認識はなかったが、エリクソンとのセッションを終えた後、普通に口を開けて話しても痛みがないことに気づいた。

・・・・・・・・

 要は、クライアントの希望はきちんと聞くが、途中のプロセス、特に催眠に関係しているところは暗黙的に行っている事例となる。

《まとめと考察》

 催眠はコミュケーションの一つであり、被験者の考えや関係性を取り巻く反応を引き出すことだとエリクソンは指摘している。



パントマイム技法
 
 二本目は、パントマイム技法。

 この論文は結構面白い。エリクソンに限らないが、トランス誘導により誘発される現象として「難聴」がある。[2] Hypnotic deafness 、あるいは Hypnotic State of deafness と呼ばれる現象だ。要は、トランス誘導によって誘発されるトランス状態が神経に何らかの影響を及ぼしているという証左ではある。(もちろん、トランスは状態はそもそも状態か?という議論はあるが)それで、被験者がこの状態に誘導されると、当然聞こえにくくなるため、この場合、被験者とのコミュケーションのためにエリクソンは《筆談》を使った。

 また、「難聴」あるいは、類する状況での、これ以外の技法として《パントマイム技法》がある。

 エリクソンがメキシコシティーに招かれて、看護師を前に講演を行うことになる。参加者の母国語はスペイン語、エリクソンの母国語は英語。通訳はいたのかもしれないが、言外の技法でエリクソンはトランス誘導を試みる。そこで活用されるのがパントマイム技法ということになる。

   もちろん、ここで言語、非言語と単純に分けてみるのは頭が悪い。理由は、言葉の中にも含みはあるし、言語と振る舞いの相互作用もあるし、非言語といってもデジタルな記号は表現可能だからだ。

 結局は、後にMRIのウォツラィック等によって体系化される「コミュケーションの公理」で書かれていたような、メッセージ、メタ・メッセージで観察しないといけないのだろうと思う。定義からすると、メッセージは言葉、記号で、メタ・メッセージはそのメッセージについてのメッセージということになる。しかし単純に、メッセージは言葉、メタ・メッセージはそこから感じる雰囲気と考えると分かりやすいだろう。例えば、言葉は巧みだが、何となく胡散臭い、とか、言葉は無骨だが、なんとなく信用できそうだ、という具合だ。もちろん、言葉が暗に示唆していることや行間の含みということまでメタ・メッセージには含まれるのだが、要は、間接的なアプローチとはこのメタ・メッセージによるコミュケーションであるのは明らかだ。

   で、今日はさわりだけ。

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2月8日の進捗、312ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 11.8%) 

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion

An Hypnotic Technique for Resistant Patients: the Patient, the Technique, and its Rationale and Field Experiments
Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, July. 1964, 7, 8-32.

繰り返し読む価値あり。★★★★★

PantomimeTechniques in Hypnosis and the Implications
Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, July, 1964, 7, 64-70.



(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html
[2]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/474833

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