2017年2月9日木曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 40日目


                                                                                                                            
   パントマイムは、

 「無い」の外側が「有る」ように振る舞い

 「無い」の中味が「有る」と思わせる『空城の計』(笑)。

   でも、現実には何も「無い」ことへの反応は「有る」。

 <ひとりごと>



はじめに

  備忘録として書いておく。


 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1]を読んでいる。読み方のルールはここ。それで、40日目の進捗などを書いておきたい。

 はじめに、ここまで読んだ感想。エリクソンは兎に角プラグマティストだということだ。日本の製造業の言葉でいったら、「現場、現実、現物」これを大切にしている。また、使えるものは何でも徹底的に活用する、それも現実的に。おそらくエリクソンの秘めた信念から必然的にこういったスタイルになったのだろう。米国プラグマディズムの祖であるウィリアム・ジェームズの影響かもしれない。逆にいうと、フロイトやユングあるいはアドラーなどの枠組みで読んでもまったくエリクソンは理解できないように思える。これはエリクソンの没後に開催された第一回の Evolution of Psychotherapyのスローガンが「理論家の時代の終焉から実践家の時代の幕開け」でまさに理論から実践への脱却だったことと符号している。 これに関して論文全集に時々出てくるのは、精神分析をしてもまったく効果がなかったクライアントだ。これは暗にエリクソンのスタイルがフロイトやユングからの脱却を示していることになる。本当は、エリクソンには今ココにある実体を利用して今を生き抜く、以外の信念は無いのかもしれない。

 また、研究者としてエリクソンの周囲によい人が集まってきている点は見逃せない。よい人とは決してオカルトに流れることなく科学的な手法で観察・研究した人という意味だ。怪しいところは人類学者的な観察でひとまず吸収した。グレゴリー・ベイトソンらをはじめとしてジョン・ウィークランド、ジェイ・ヘイリーなど後にMRIの関係者たち、アーネスト・ロッシ、ジェフリー・ザイク、ランクトン夫妻、スティーブン・ギリガンらのエリクソニアンたち。チョイ役のアーネスト・ヒルガードやアンドレ・ウェイゼンホファーら。やはり、グレゴリー・ベイトソンを通してサイバネティクスの枠組みが持ち込まれたのは大きい。その後、エリクソンの技法はサイバネティクスで形式知化され、短期療法、戦略的家族療法などの発展につながっていく。


パントマイム技法
 
 今日は、パントマイム技法を書いた「PantomimeTechniques in Hypnosis and the Implications」のつづきから。

 内容は、簡単にいうと言葉による誘導を使わないでトランス誘導が可能かの実験だ。このための具体的な被験者として

  • 言語が通じない人(英語ースペイン語など)
  • ろうあ者の人
 が登場する。


もちろん、ここでは何か不思議な力が働いているといった妄想をしてはいけない。つまり、テレパシーみたいなものはそもそも想定されていない。むしろ現実的な実験で、言語以外で被験者の知覚に影響を与えるのかどうか?というだけの話だ。例えば、被験者に「目をつぶって欲しい」と言葉ではなくてジェスチャーでどう的確に伝えるのか?「何か一つのことに目の焦点を当てて(周辺視野を弱める)」とジェスチャーでどのように伝えるのか? こういった話だ。ここでは、こういった技法を「パントマイム技法」と呼んでいる。もちろん、多少の手話のようなものは使っている。

 この論文には「Control」という用語が登場する、個人的にはサイバネティクスの枠組みで考えており、コントロールは1)事前、2)途中、3)事後で自分で制御可能なことを制御と理解している。[2] それで、トランス誘導において被験者の知覚に影響を与える制御可能なポイントがどこにあるのか?を考える、網羅しているか?は不明だが例えば以下だ。エリクソンは現実的な方法で被験者の知覚に働きかける。


  • 視覚
    • 目を開ける、目を閉じる
    • 目の焦点を絞る(周辺視野を緩めて、中心視野で見る)
    • 目の焦点を絞らない(周辺視野と中心視野で見る)
    • 対象の動きを追う
    • その他
  • 触覚
    • 何かに触れられる感覚
    • 重さ
    • 動き
    • 特定の触覚に焦点を当てる
    • 複数の触覚に焦点を当てる
    • 触れると思って違うことをする
    • ・・・・
    • その他
  • 聴覚
    • 言葉でないアナログな音
    • その他


 詳しくは書かない。被験者とどのような関係をつくり、状況設定をして、どのように動かしてもらうのか?これが技法の「How」ということになる。

 ・・・・・・
 
 
2月9日の進捗、320ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 12.1%) 

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion

PantomimeTechniques in Hypnosis and the Implications
Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, July, 1964, 7, 64-70.



(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html
[2]http://ori-japan.blogspot.jp/2016/05/pdca.html

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