2017年3月12日日曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 71日目


                                                                                                                            
 自分の周りを「イエスマン」で固めない。

 建設的批判者を身近に置けるのも力量の証明。

 これで「裸の王様」になるのを防ぐことができる(笑)。

 <ひとりごと>



はじめに

 備忘録として、

 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 71日目について書いておきたい。

催眠で限定的な強迫観念を起こせるか?


「The Development of an Acute Limited Obsessional Hysterical State in a Normal Hypnotic Subject (1954)」続きから。

 要点は以下。

 エリクソンは、全ての催眠の実験には問題がある、と認識している。具体的には以下だ。

  • 検証結果が信用にたるものか?
    • 被験者の証言
    • 手順
    • 被験者に意味があったか?

 さらに、これらが相互作用して問題が起こっていると考えている。
 これについて25歳の女性を被験者として行った実験について考察している。

  •  被験者の女性は、以下の理由でこの検証に適切な人物、
    • 心理テストなどでは正常
    • 博士号の研究を終えたばかりで頭がよい
    • 建設的な批判ができる
    • ここ、15ヶ月ほどエリクソンを手伝ってもらっている
      • 実験
      • デモンストレーション
  • この女性は自分は催眠にはかからないと考えている
  • また、催眠による以下は催眠ではない別の原因で起こると考えている
    • 聴覚喪失
    • 視覚喪失
    • 色覚喪失
    • 感覚喪失
  • そこで、エリクソンがこの女性を被験者に各感覚の喪失を体験させ、建設的に批判してもらう
 ここまでこの論文のプロットとなる。

 ここでは細かい技法の話は出てこない。ただ、実験の様子を記述しているだけだ。また、ここでは細かい話は書かない。

 もちろん、ここで学ぶのは建設的な批判が出来る人物を使っているということだろう。しかも、相手は博士号を持っているので、手順の不備や推論の誤りなど細かいところに気がつく。自分でも気がつかないヌケ・モレを相手にチェックしてくれるということになる。私がここから学んだのは以下の2つだ。

  •  建設的な批判者を周りにおけ、
  •  疑わしいことは実験しろ、
 これに尽きる。仕事や日常にも通じる話だ。

随考

 技法について、少し書きたくなった。

 最近、エリクソン派生の短期療法や家族療法で使われるリフレーミングをそれなりのレベルで使いこなせるようになった感覚がある。もちろん、これが終着点というわけではない。で、プロセスの概要を書いておくと以下だ。

  1. (相手がいる場合は抵抗を回避して)問題、課題を明示する
  2. 問題、課題のパラドクス構造を少し意識してもらう
  3. 問題を問題として見ている前提となる認識上のフレームに着目する
  4. このフレームにカウンター・パラドクスを当てる
  5. 送りバントのように1.〜4.をコツコツ繰り返す、ただしポジティブ・フィードバック・ループを使う
  6. うまく行った場合は、認識と振る舞いが現状の枠組みを超えて変わる
 一例として、不都合な振る舞いの Positive Intention を考えたら、V.フランクルではないが Paradoxical Intention を当てていくという感じになる。フレームをどのように捉えるのか?というのが一つのポイントになると思う。

 これは、コトバから推測される、直線的な因果関係、もっというと、

  • (認識上の)演繹的な意味付け
  • もしくは、帰納的意味付け
これらにおける「関係性」を変化させていく感じになる。余談だが、これを身体的に行うとゲシュタルト療法のエンプティー・チェアになるのだろうし、家族療法のサティア風に行うとパーツ・パーティーというなるのだろう。

 個人的なスタイルは、ミルトン・エリクソン風のパラドクス介入、あるいはカウンター・パラドクス介入になると思うが、このあたりが参考になるだろう。

 さて、リフレーミングは今まで信じていたものを180°転換させるツールというわけでもない。どちらかというと直線的因果関係で捉えていたことを、一度事実なり経験に戻して円環的因果関係のもとにシステム思考をしてみるようなツールだ。あまり大きな声では言えないが、発想を180°転換させること自体が元の枠組みを超えてない証拠だ(笑)。

 その意味、デカルトの世界感からベイトソンの世界観で見直してみましょう、というのがリフレーミングと言ってよいかもしれない。要は、二値的に白黒つけていた発想を、そう簡単に白黒つけられるわけではない、まで戻すところが出発的になるというわけだ。

 余談だが、企業研修などでは怪しくないが変化を誘発する質問によるリフレーミングとしてカール・トム博士の質問システムなどを検討するのもよいかもしれない。

3月12日の進捗、568ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 21.5%) 

Volume 2 : HYPNOTIC ALTERATION   OF SENSORY, PERCEPTUAL    AND PSYCHOPHYSIOLOGICAL   PROCESSES

The Development of an Acute Limited Obsessional Hysterical State in a Normal Hypnotic Subject 
Milton H. Erickson Read in part at the 4th annual meeting of the Society for Clinical and Experimental Hypnosis, New York Academy of Sciences, Sept. 26, 1953; and in part at the 1 stAnnual meeting of the Southern Calif. Psychiatric Society, Los Angeles, Calif., Nov. 14, 1953; reprinted with permission fromThe Journal of Clinical & Experimental Hypnosis, January, 1954, 2, 27-41. 

(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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