2017年3月22日水曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 81日目


                                                                                                                            
 クライアントの問題、課題を整理する時、

 エリクソンはちきんと構造化して考えているよなぁ〜

 コンサルタントと同じ発想で(笑)。

 <ひとりごと>



はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 81日目について書いておきたい。

人の振る舞いと音源の方向についてのフィールドワーク

 一本目は、「A Field Investigation by Hypnosis of Sound Loci Importance in Human Behavior(1973)」の続き。著者はミルトン・エリクソン。

 これについては、昨日書いたことでおおよそカバー。余談だが、発達心理学で有名なジャン・ピアジェの認識論についてこのあたりで書いた。この中で「Transductive Logic」があった。つまり、人は短い期間の間により因果関係があると考え、時間が長くなると因果関係が薄いと考えるようになる認知バイアスがそもそも備わっている、という話だ。

 こことは直接関係ないが世界史、日本史といった歴史を考える場合がこれにあたるだろう。何か事件が起こる、これが及ぼした影響は影響を1年、2年で考える、しかしその後100年に及んで影響を及ぼし続ける、といったことはあまり考えない。逆に、例えば、「黒船来航がその後100年日本にどのような影響を及ぼしたか?」こういう視点を持つことが出来る人は普通の人とは何か違ったものを得られる確率が高い。

 エリクソンの事例は、①1929年、②1942年、③1968年と個人が観察、考察できる事例としては非常に長い。これは物事をよりメタの視点から記述していることになり、状況や流行などを丸めてより本質的なことに迫るための思考形態ということになるのだろう。

 企業経営を考えると、どうしても1年、2年の範囲でしか物事を考えなくなる。結局、会計制度が短期的にしか物事を見えないようにしているからだ。しかし、エリクソンのこの論文を読むと、単に「催眠現象」の調査という枠組みを超えて、もう少し長期かつメタに物事を見る重要性に気づかせてくれることになる。例えば、いつまでも変わらない経営理念のような話だ。

 その意味ではエリクソンからは学ぶことが多い。
・・・・・・



催眠による心身の現象
 二本目は、「Hypnotic Investigation of Psychosomatic Phenomena: Psychosomatic Interrelationships Studied by Experimental Hypnosis(1942) 」。

 端的にいうと、エリクソンいわく、他の論文を詳しく調べたわけではないが、催眠によって心身に現れる現象をここにまとめておく、これがここでの趣旨だ。味気ないが、催眠は健康な被験者に様々な神経現象を引き起こす。あくまでも単なる神経現象の話。これ以上のことを求めてはいけないようにも思われる。

 具体的に、これにはどのようなものがあるか?以下のリストにまとめられている。

A.変容された視覚的振る舞い
  1.視力のぼけや読書の難しさで視力低下
  2.視野の収縮
        3.視線を集中させることの難しさ
        4.奥行き感と距離知覚能力の低下
        5.有色視覚の主観的感覚、すなわち視覚刺激への色彩値の追加

B.変容された聴覚行動
        1.痛みの軽減
        2.音の定位の不正確
        3.音質の歪み

C.運動行動の変容
        1.一般的な筋肉の不調和
        2.特定の運動障害
          (a)麻痺および麻痺
          (b)失神症
          (c)音声外乱
          (d)ジスメリア
          (e)眼固定、瞳孔拡張および眼球運動
  
D.他のタイプの変容した行動
         1.痛覚過敏および麻酔
         2.吐き気とめまいの主観的反応
         3.様々な生理学的合併症を伴う不安状態および恐怖反応
         4.気分障害、通常外接的および特異的
          5.忘れられた行動パターンの復活

 個人的にその人が論理的に思考できる人かどうかを判断する時に、物事が構造的に整理できているかどうか?を見ていることが多い。これは、コンサルタントがロジック・ツリー(イッシュー・ツリー)を使って物事を整理できているか?と同じ問いだ。マッキンゼーのOBのブログの記事が参考になるだろう。

 もちろん、実際現場で起こることを竹を割ったように全てモレなくダブリなくきちんと整理できるか?と言われるとそうではないこともあるし、複雑な相互作用を扱えないという限界は理解しているけれど。

 しかし、エリクソンについて問われると、こういったリストの整理の方法一つとっても、非常に論理的に物事を考えている人だと分かるのが面白いところだろう。おそらくクライアントの問題、課題に取り組む時もそれを構造化して考えていた、と推測できる。それが論文全集を読むひとつの面白さでもある。

随考
 
 合間に、パラパラと「Ericksonian Approaches second edition 」を読む。こちらの難易度は初心者向け。技法が紋切り型に網羅的に書いてある形式の著作だ。

 論文全集からすると、相対的に平易な文章で書いてある。だからスラスラ読める。定量的に言ったら大体45分で100ページくらい。おそらく昔からするとペースが3倍増(当社比ー笑)。

 「催眠誘導?」「それが効果があると思ったらやればぁ〜」とかなり達観した感じにはなっている。その理由は、その前段階にある問題の見立て、それを構造化して整理し、クライアントの変化を支援する資源をどう見つけ、それを利用するのをどう支援するのか?こちらのほうがより重要だからだ。


3月22日の進捗、648ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 24.5%) 

Volume 2 : HYPNOTIC ALTERATION   OF SENSORY, PERCEPTUAL    AND PSYCHOPHYSIOLOGICAL   PROCESSES

A Field Investigation by Hypnosis of Sound Loci Importance in Human Behavior Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, October, 1973, 16,147-164. 

Hypnotic Investigation of Psychosomatic Phenomena: Psychosomatic Interrelationships Studied by Experimental Hypnosis 
Milton E. Erickson Enlarged from a report given before the American Psychiatric Association in Boston, May 1942, and released for publication in this journal by the courtesy of the Editor of the American Journal of Psychiatry; reprinted with permission fromPsychosomatic Medicine, January, 1943, 5, 51-58. 




(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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