2017年3月23日木曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 82日目


                                                                                                                            
     このあたりの話は単なる「神経系」の「現象」の話。

 不思議な話は、あくまでも「神経系」の神秘と不思議(笑)。

 個人的にはフランシスコ・ヴァレラの「神経現象学」とつなげて見ている。

 <ひとりごと>



はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 82日目について書いておきたい。


催眠による心身の現象
 「Hypnotic Investigation of Psychosomatic Phenomena: Psychosomatic Interrelationships Studied by Experimental Hypnosis(1942) 」の続きから。

 時代としては1942年、第二次大戦中で日米が開戦した翌年に発表された論文だ。内容は昨日も書いたとおりに健康な人を対象に催眠誘導して催眠現象を引き出すということだ。
 
 具体的に、これにはどのようなものがあるか?以下のリストにまとめられている。

A.変容された視覚的振る舞い
  1.視力のぼけや読書の難しさで視力低下
  2.視野の収縮
        3.視線を集中させることの難しさ
        4.奥行き感と距離知覚能力の低下
        5.有色視覚の主観的感覚、すなわち視覚刺激への色彩値の追加

B.変容された聴覚行動
        1.痛みの軽減
        2.音の定位の不正確
        3.音質の歪み

C.運動行動の変容
        1.一般的な筋肉の不調和
        2.特定の運動障害
          (a)麻痺および麻痺
          (b)失神症
          (c)音声外乱
          (d)ジスメリア
          (e)眼固定、瞳孔拡張および眼球運動
  
D.他のタイプの変容した行動
         1.痛覚過敏および麻酔
         2.吐き気とめまいの主観的反応
         3.様々な生理学的合併症を伴う不安状態および恐怖反応
         4.気分障害、通常外接的および特異的
          5.忘れられた行動パターンの復活

 この論文では詳細なトランス誘導の方法については書かれていない。しかし、おそらくこの表にある標準的なアプローチを使っている。また、「Ericksonian Approaches second edition 」から具体的なトランス誘導の技法の例をあげておくと。以下がある。ただし、以下ではユーティライゼーションを含むが、上の論文では基本的な誘導のみ実施していると推測される。

《基本的な誘導》
#1 眼球固定による凝視
#2 アーリー・ラーニング・セット
#3 腕浮揚
#4 質問による腕浮揚
#5 数を数える(混乱技法)

《応用の誘導》
#1 マイ・フレンド・ジョン技法による誘導(間接技法)
#2  多感覚応用の誘導
#3  (想像された)水晶を見つめる誘導
#4  幻覚行動様の浮揚
#5  手のひらの浮揚
#6  負の幻覚の多重解離
#7  ハンド・シェイク
#8  拡張版ハンド・シェイク
#9  観念運動による誘導
#10 非言語アプローチ
#11 言語アプローチ
#12 直接暗示
#13 不随意的な再誘導

   内容は色々書かれているが面白いものだけピックアップしておくと。視覚変容の過程で共感覚の被験者が居るのを発見したり、嗅覚変容の過程で猫恐怖症の被験者が猫を怖がらなくなったり、視覚変容の過程でメガネを掛けた被験者が子供の頃から訴えた頭痛の要因をトランス状態で探ったところ、頭痛が消失したりと、よい意味での副作用の発見が書かれている。おそらくだが、トランス誘導を行い、経験の再構築をすることで現在の知覚プロセスが変わるということだろう。これにより何か不都合な症状が消失することもあると。
 
随考
 
 このあたりは案外面白い。エリクソニアンの問題解決のパターンは、このあたりで書いた。

 それで、問題は、「問題を問題と認識しているプロセスそのもの」でもあった。これを変化させるには、知覚処理のプロセス自体を変えればよいという仮説になるが、この論文で試されているのがそれにあたるのだろう。

 個人的な趣味としては、「神経+現象」と聞くと、オートポイエーシスの共同研究者であったフランシスコ・ヴァレラの「神経現象学」が想起される。ただ、エリクソンの論文を読んでいると、メタファーとして「神経現象学」が音楽理論で、「エリクソニアン・アプローチ」が楽器の練習というような形式でつながってくるのは面白いところだ。要は、卓上の理論が一気に具現化する瞬間でもある(笑)。

 そう考えているとエリクソンの催眠誘導の技法も Jazzのスタンダードの1曲としか考えていないのだよなぁ(笑)。

3月23日の進捗、656ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 24.8%) 

Volume 2 : HYPNOTIC ALTERATION   OF SENSORY, PERCEPTUAL    AND PSYCHOPHYSIOLOGICAL   PROCESSES

Hypnotic Investigation of Psychosomatic Phenomena: Psychosomatic Interrelationships Studied by Experimental Hypnosis 
Milton E. Erickson Enlarged from a report given before the American Psychiatric Association in Boston, May 1942, and released for publication in this journal by the courtesy of the Editor of the American Journal of Psychiatry; reprinted with permission fromPsychosomatic Medicine, January, 1943, 5, 51-58. 




(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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