2017年3月5日日曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 64日目


                                                                                                                            
 「やってみもせんで、何がわかる」

    エリクソンと本田宗一郎の共通点。

   プラグマティストは現場・現実・現物から体全体で学ぶ。

 <ひとりごと>



はじめに

 備忘録として、

 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 64日目について書いておきたい。

 進捗は、Volume Ⅰ目を通し終わり、Volume Ⅱに入った。全体からすると、20% に近づいた。ちなみに、これから読む予定のVolume Ⅱは邦訳が出ていた記憶、個人的には持ってない。

編集者から

 一本目は「Editorial (1964)」。要は、会報などにある、編集者から、というようなエッセー。昨日の続きから。

 簡単言うと、医療関係者の間でも催眠についてのインチキ資格が横行していたり、逆に偏見が存在しているので、検証された知見を正しく普及する必要がある、と論考しているエッセーとなる。


編集者から

二本目は「Editorial (1965)」。

 結論からいうとエリクソンは後に「一人ひとりは唯一無二の個人である。したがって、心理療法は個人のニーズの独自性を満たすように処方されるべきであり、人間の行動の理論の仮説を画一的に当てはめるべきではない」というような信念めいたことを構築するに至る。

 このエッセーはどのような経験からそのようなことを考えた始めたのか?具体的なエピソードとそのきっかけについて書かれている。

 普通、会社で仕事に従事し、特に一般消費者向けの市場をターゲットにしているとどうしても画一的になる。もちろん、技術的にも金銭的にも個別対応するのは難しいだろう。ただし、この対局にある考え方としてはエリクソンのような信念があることを知っていても損はないだろう。敢えて、マスと個の二項対立を設定すれば、この対立を超えていかなければならない。マスを対象にした仕事をしていても、どう個と向き合い、どうこの二項対立を超えるのか?その人の力量が試されるということでもある。


Volume Ⅱへ進む

 三本目は「Hypnotic Induction of Hallucinatory Color Vision Followed by Pseudonegative Afterimages (1938)」。日本語だと、「催眠的色覚の催眠誘発と偽陰性残像」となる。

    簡単にいうとこんな感じだ。5人の大学生の被験者がいる。彼らは夢遊病的なトランス状態に入れるように訓練されている。この被験者を標準的アプローチで催眠状態に誘導する。さらに白紙を見せる、コトバでこれが「赤、黄、緑、青、緑、黄、赤、青」の順に色が付いていると直接暗示する。さらに、「明るく」の形容詞を使う。

 これによって、実際についてない色を幻覚することができるのか?

 こういった実験だ。細かい手順はここでは書かない。

 個人的に思うのは、「始めに言葉ありき」。使い方によっては神経系に何らかの現象を起こすことができるということだ。コトバが神経にどのように影響しているのか?の研究としてはかなり興味深い。コトバの力を実感するには十分だ。ただし、神経に現象すれば、だけれど(笑)。


考察 

 Volume Ⅰを読み終えた。

 どこが大トロでどこが赤身か、の違いは分かった。ただ、こういう発想は少し単純すぎるようにも思う。

 「食べて美味しいのはどこか?」

 これでは、単一で局所的な視点からしか見ていないからだ。要は、「分けたら分かる」の発想しかない。

 もう少し大きな視点を考えてみる。例えば、以下のような質問が有効だろう。

 「稚魚はどのようにして巨大マグロになったのか?」
 「どのようにサバイバルしてきたのか?」
 「どのような物語があるのか?」

 この問いで少しは視点が広がる。少なくとも「成り方」のプロセスは意識できる。その上で、美味しいところも、美味しくないところも愉しむ。これもまた一興なのだろう。本当は、マグロと一緒に泳ぐ、が必要かもしれないが(笑)。

 さて、エリクソンの全ては、膨大な実験、観察、そして考察に支えられている。気の遠くなるような試行錯誤と果てしない継続性が必要なことだ。

 そして、自分を振り返る。

 「小学生の頃から何十年も続けていることは何かあるか?」

 歯磨きとか入浴とかしか思い浮かばない(笑)。その意味では、2年や3年何かに継続的に取り組んだとしても、それは三日坊主と変わらないのかもしれない(笑)。

 もう少し建設的に発想を変えてみる。

 コンテンツは三日坊主かもしれないが、学びのプロセスは続けていると仮定してみよう。実際にやってみる。結果を観察する、とにかく観察する。これで何かを学ぶことはできるし、意識にせよ無意識にせよ、これまでそうやって学んできたはずだ。学びのプロセスはコンテンツによらない。当然、続けていれば、学びのプロセスも進化し深化する。

 エリクソンではないが、ここで『無意識』という漠然として全体性を持つシステムを導入する。要は、巨大なブラックボックス。これをコトバで説明してはならない。野暮というものだ。単にあることを仮定し、時折感じてみるだけ。このような『無意識』を仮定することで、3つのことが生じる。

  • 意識的に分かっていることだけが全てではない
  • 無意識に学んだこと、学んでいることがあるかもしれない
  • 意識は無意識の関係が示唆される(これは部分と全体の関係性のメタファーでもある)

 要は、「分けなくても分かる」しくみが導入されたことを意味する。つまり、『無知の知』使う設定が完了したことになる。

 もちろん、『全体』というのは『宇宙のはて』のようなもので誰にも分からない。神のみぞ知る。無神論者のベイトソンは別の見解かもしれないが。ただ、裏を返せば『全体』という分けの分からないものは常識にとらわれない知恵の源泉ではあるのだろう。これによって学びのプロセス自体を変えることも可能になる。

 ここまでエリクソンを読んだ(当然色々試してはいるのだが)感想は、「私はエリクソンを理解した、催眠だって完璧」という態度は実はマヌケだ、というのも分かってくる。本当は「エリクソンについて、分かっていないということがよく分かりました」という態度でいることが学びを深め、『無知の知』を使うポイントなのだろうなぁと肚に落ちたところだったのだ(笑)。もちろん、意識で分かっていないからといって、無意識で分かっていないとは限らない。既に、この学び自体がすでに逆説的なのだが・・・・・これがエリクソンの面白さのようにも思える。

 さらに、「システム思考の練度を図る30の質問」と「システム思考への誘い」を読んでみる。システム思考の視座には、意識も無意識もある。今分かっていることも、分かってないこともある。知覚もあれば、概念もある。エリクソンに編み込むことで、学びは更に深くなる。

3月5日の進捗、512ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 19.3%) 

Volume 1  : The Nature of Hypnosis and Suggestion

Editorial, 
The American Journal of Clinical Hypnosis, July, 1964 Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, July 1964, 7, 1-3. 

Editorial,
The American Journal of Clinical Hypnosis, July, 1965 Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, July, 1965, 8, 1-2. 

Volume 2 : HYPNOTIC ALTERATION   OF SENSORY, PERCEPTUAL    AND PSYCHOPHYSIOLOGICAL   PROCESSES

Hypnotic Induction of Hallucinatory Color Vision Followed by Pseudonegative Afterimages Milton H. Erickson and Elizabeth M, Erickson Published in Journal of Experimental Psychology, 1938, 22, 581-588. 



(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html

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