2017年3月20日月曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 79日目


                                                                                                                            
 身体反応は、状況に条件づけられている。

 同じ状況を臨場感を持って体験すると、同じ反応が起こる。

 これを変えるには、はてどうしてものか?

 <ひとりごと>



はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 79日目について書いておきたい。

人の振る舞いと音源の方向についてフィールドワーク

「A Field Investigation by Hypnosis of Sound Loci Importance in Human Behavior(1973)」。著者はミルトン・エリクソン。

   論文自体は 1973年に The American Society of Clinical Hypnosisの学会誌に投稿されたもので、エリクソン的には後期のあたる。しかし、この論文の冒頭は、1929年のコロラド州立精神病院に英国から帰ったばかりのレジデンスが配属された7月から始まる。このレジデンスは英国からの船でひどい船酔いを経験している。

 催眠に興味を持ち、9月からエリクソンの被験者になって催眠実験を始めるが、エリクソンは特にこの船酔いの症状がどのようなものであるのかを実験しようと試みる。

 エリクソンは、定番の「腕浮遊技法」を活用して被験者をトランス状態に導く。被験者は船に乗った状態を臨場感を持って想像すると船酔いの症状が出るようなことになっている。また、「腕浮遊技法」の表現が詳しく書かれているので非常に面白い。

 レジデンスはトランス誘導される。今、船にのっていると臨場感をあげて想像するだけで気分が悪くなる。

 船にのっていると波の音、船が出す音が下ほうから聞こえる。こういった症状を再現するのに、案外、音がどの方向から聞こえてくるのか?というのが重要ではないのか?という考察がこの論文となる。

 被験者の努力のかいと、医学的な知識を持っているため客観的な証言が得られた、と語られている。


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随考
 
 催眠は人間だけが使えるのか?

 こんなことを考えてみる。普通の人には縁のない話だ。

 結論から言うと、ほとんどの人間よりシャチのほうが催眠がうまいこのあたりの記事に書いてある。 餌のサメを捕まえると暴れないようにひっくり返し、催眠状態にして食べる。生活の知恵なのだろう。

 シャチにも負ける催眠にこだわっても仕方ないのではないのか?

 そういう考え方もあるだろう。それに、我々は一応人間だ(笑)。

 人間ならではの方法はあるのか?

 頭を使え、ということになるだろう。少なくともシャチよりは(笑)。

 人間が頭を使えるところはどこか?一つはシステム論的な話になるだろう。

 そもそも、目的は何だったのだろうか?

 認識や行動の変化を支援することだ。

 エリクソン派生の技法もサイバネティクス等のシステム論を当てることで必ずしも催眠導入は必要なくなっている。これは進化の形態としては合理的だ。

 一例として、MRIのポール・ウオツラウイック、ジョルジュ・ナルドネの著作「Art of Change : Strategic Therapy and Hypnotherapy without trance」を読むとこの理屈がよくわかるだろう。要は、パラドクスの状況設定とそこにカウンター・パラドクスを当てるなどのリフレーミングでエリクソンのやっていたことが催眠導入なしにできるということだ。

 あまり大きな声では言えないが催眠導入に成功したからといって変化が起こるわけではない。例えば、催眠を使わない認知行動療法を考えてみれば誰にでも分かる話だ。もちろん、変化の理屈は催眠とは別のところにあるというわけだ。その意味では、ウオツラウイックとナルドネの著作は良書だ。

 「反省だけなら猿にも出来る」。

 昔こういったCMがあった。

 「催眠だけならシャチにも出来る」。

 我々が本当に知らなければいけないのは、認識の枠組みや行動に変化をもたらす理屈と技法であることであるのは間違いない(笑)。


3月20日の進捗、632ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 23.6%) 

Volume 2 : HYPNOTIC ALTERATION   OF SENSORY, PERCEPTUAL    AND PSYCHOPHYSIOLOGICAL   PROCESSES

A Field Investigation by Hypnosis of Sound Loci Importance in Human Behavior Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, October, 1973, 16,147-164. 




(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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