2017年3月8日水曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 67日目


                                                                                                                            
 応用というのは、果てしない基礎実験の積み重ねからできている。

 ローマは1日にして成らず。

 決して、ローマ人が怠け者だから、ではない(笑)。

 <ひとりごと>



はじめに

 備忘録として、

 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 67日目について書いておきたい。

一本目


一本目は「Induction of Color Blindness by a Technique of Hypnotic Suggestion(1939)」の続きから。

 簡単にいうと、催眠状態で被験者が色盲(色覚異常)になるか?の実験。標準的アプローチを使い被験者が催眠状態におかれる。直接暗示で色盲を示唆。ここで色覚異常が引き出されたかどうかのテストを行う、被験者はエリクソンの勤務先の病院関係者6人、ざっというとこんな実験。検査は石原式色覚異常検査表で行われる。

結論の概要は以下になる。(試訳)


An experimental hypnotic technique was devised involving the suggestion separately of red, green, red-green, and total color blindness, each accompanied by an amnesia for all conceptual significations of the critical color or colors.

Six persons having normal color vision were subjected to this experimental procedure, and administration of the Ishihara Color Blindness Test disclosed them to have developed definite alterations in color vision comparable in degree and character with actual color blindness.

Application of control measures disclosed the subjects to be unable to duplicate or even to approach, under ordinary conditions, their experimental behavior.

Comment is made upon the rationale of the experimental procedure, the psychological processes and mechanisms entering into the production of the results, and emphasis is placed upon the need for more adequate knowledge of the neuro- and psychophysiological processes involved in color vision before an interpretation is made of the experimental findings.

A final conclusion is offered that cortical processes and activities, as evidenced by these experimental findings, have a definite though undefined significance in the problem of color vision.

赤、緑、赤 - 緑、および総色盲の別々の暗示を含む実験的な催眠技法が考案され、重要な色または色のすべての概念的な意味に関する喪失が伴う。

実際の色盲で程度に応じた色覚の明確な変化が見られたことを、石原式色覚異常検査法の使用により実験的に観察された。

制御手段の適用は、被験者が通常の条件下でそれらの実験的行動を複製することができない、または近接することさえできないことを示した。

実験手順の理論的根拠、結果の生成に関わる心理学的プロセスとメカニズムについてのコメントがなされており、実験結果の解釈の前に色覚に関わる神経心理生理学的プロセスのより適切な知識の必要性が強調されている。

これらの実験結果によって明らかにされるように、皮質のプロセスおよび活動は、色覚の問題において明確ではないが重要な意義を有するという最終結論が提供される。


要は、エリクソンも暗示とどの色覚異常になるかの間に明確な因果関係が存在するわけではなく、制御されているわけではない。つまり、赤の色盲を示唆したからといって全員にこれが起こるわけでもない。また一人に対して何回かセッションを行っているが、全て同じ結果が得られるわけでもない。さて、どうしたものか?という感じにはなっている。

エリクソンの思考プロセスを覗いているようなところもあって、これはこれで面白い。


考察 

 応用は基礎実験の積み重ねからできている。

 エリクソンの場合は、催眠状態やコトバによる直接・間接暗示が神経にどのように現象するのか?を徹底的に調査検証しているように思われる。科学哲学者のカール・ポパーは「どのような手段によっても間違っている事を示す方法が無い仮説は科学ではない」と言って、この短いコトバで科学を定義した。

 その意味では、催眠とは、コトバと神経現象の間にどのような関係があるのか?あるいは無いのか?を探る科学的な取り組み、という側面もある。

3月8日の進捗、536ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 20.2%) 

Volume 2 : HYPNOTIC ALTERATION   OF SENSORY, PERCEPTUAL    AND PSYCHOPHYSIOLOGICAL   PROCESSES

Induction of Color Blindness by a Technique of Hypnotic Suggestion 
Milton H. Erickson Reprinted with permission fromThe Journal of General Psychology, 1939, 29, 61-89. 


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html

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