2017年3月7日火曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 66日目


                                                                                                                            
 続けるにもお金は必要だ、

 自分で稼ぎながらそれをやるか?

 他人のお財布をあてにするか?(笑)。

 <ひとりごと>



はじめに

 備忘録として、

 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 66日目について書いておきたい。

一本目

 一本目はDiscussion: Critical Comments on Hiblers Presentation of His Work on Negative Afterimages of Hypnotically Induced Hallucinated Colors (1941)」。「催眠的色覚の催眠誘発と偽陰性残像」の批判の批判。著者は、エリザベス・ムーア・エリクソン。この続きから。

   エリクソンはヒブラーからの批判を以下のように結論付けている。


Hibler's experiment proved only that an inadequately hypnotized subject who knows about afterimages sees the appropriate afterimages in what he realizes to be an afterimage set-up; that subjects instructed to hallucinate colors in a semi-waking state do not experience afterimages of those colors; and that subjects instructed to regard and treat one color as another, knowing about afterimages, may or may not carry the cooperation so far as to report the afterimage they assume to be correct.

Hence Erickson and Erickson's earlier experiment, not having been repeated or even checked in any detail by Hibler's, must still be considered to be accurate, and its final conclusion to stand: that the hallucination of various colors by hypnotic subjects can be sufficiently valid subjectively to permit a spontaneous and invariable hallucination of complementary colors somewhat in the form of negative afterimages.

The real contribution of Hibler's experiment to hypnotic investigative work is its demonstration of how misleading and unreliable experimental results can be when their acceptance is based upon the completion of an experimental procedure without due regard or provision for the nature and character of the phenomena under investigation by that procedure.

ヒブラーの実験は、残像を知っている不十分な催眠の被験者は、残像の設定であると認識していることで適切な残像を見ているだけであることを証明した:半覚醒状態で色を幻覚するように指示された被験者は、それらの色の残像を経験しない。残りの1つの色を別の色として見なして扱うように指示された被験者は、残像について知っていて、正しいと思われる残像を報告するために協力を行ってもいなくてもよい。

したがって、エリクソンとエリクソンの初期の実験は、繰り返されていなくても、もしくはヒブラーの詳細でチェックされていなくても、正確であるとみなされなければならず、最終的な結論は催眠の被験者による様々な色の幻覚が、ネガな残像の形で幾分補完的な色の自発的かつ不変の幻覚を許容する。

ヒブラーの実験による催眠的調査研究への実際の貢献はどのように誤解を招くか、信頼性の低い実験結果が、その手順が調査中の現象の性質と性質を十分に考慮せずに、実験手順の完了に基づいているかどうかで示すことができる。


何れにしても他人の追試で異なる結果が出た場合、何が違っていたのかを比較することでより思考を深められるということなのだろう。このあたり、批判的な指摘を論理的に手順を追って反駁していくことも重要なのだろう。


二本目

 二本目は「Induction of Color Blindness by a Technique of Hypnotic Suggestion(1939)」。

 簡単にいうと、催眠状態で被験者が色盲(色覚異常)になるか?の実験。標準的アプローチを使い被験者が催眠状態におかれる。ここで色覚異常が引き出されたかどうかのテストを行う、ざっというとこんな実験。

 余談だが、エリクソン自身も色盲だったことが知られている。これはたしか「Experiencing Hypnosis 」[2]の中でベティ・エリクソンがエリクソンの色盲は Red-Greenの異常だと書かれてきた記憶がある。


考察 

 時代背景を推測してみる。

 欧州でドイツがポーランドに侵攻を開始するのが 1939年9月、遅れること、米国が第二次大戦に参戦するのが1941年12月、大統領は民主党のフランクリン・ローズヴェルト。1995年に発表されたヴェノナ文書の発表で閣僚に共産主義者が紛れ込んでいたことでも知られる謎も多い人物だ。ただ、ミルトン・エリクソンとの共通点もある。一つは小児麻痺で体が不自由だったこと。もう一つは演説の言葉使いが超人的に巧みだったことだ。ローズヴェルトの演説は「炉辺談話」と言われ、ラジオから流される演説に多くの米国民が夢中で聞き入った。著作が明らかにしているローズヴェルトの夫婦仲はエリクソンと違って最悪だったようだが、テレビのない声が主役の時代のヒーローだったことは確かだ。

  1949年にエリクソン一家はミシガン州からアリゾナ州へ引っ越す。つまり、引っ越し前の1941年は、ミシガン州時代ということになる。年間の平均気温は10℃前後、24℃前後のアリゾナ州と比べて随分厳しい。

  1959年にエリクソンなどを研究した心理療法の研究機関であるMRIがカリフォルニア州パロアルトに出来る。何を言いたいか?MRIはメーシー財団などがファンディングしてエリクソンに比較すると規模の大きな研究を行っていた。要は、研究費用を誰が出しているのか?はとても重要なことだ。お金が集まらないと長期的に体系だった研究はできない。

 対照的に、ミシガン州時代のこの論文は被験者が5、6人であることを考えると外部からのファンディングを受けずにエリクソンは夫妻でほそぼそと研究を続けていたと推測される。余談だがこの時期、グレゴリー・ベイトソン、マーガレット・ミード、ルース・ベネディクトらの人類学者はCIAの全身であるOSSでナチスドイツのプロパガンダや日本の文化風習などを研究し、後にGHQによる日本統治にも影響を与えた。これは、このあたりで書いた。研究費用は米国政府が出している。現在、米国の中東政策に人類学者が含まれているのかは不明だが、やはり相手の文化風習を理解するのは重要なことだ。

 さて、The American Society of Clinical Hypnosis がエリクソンらの手によって設立されるのが1957年、この論文からすると随分後だ、そのためこの論文も The Journal of Experimental Psychology に投稿されている。

 逆に言うと、このような論文などが元になって、MRIのような研究機関や The American Society of Clinical Hypnosis などの学会の設立に繋がったとも考えられる。要は、なければつくればいい、こういったことをお金の流れも考えながら推測してくのも愉しみの一つではある。「意志あるところに道は開ける」ただし、自分でお金を稼ぎながらそれをするのか?どこからお金を持ってくる必要はある、ということだ。
 
3月7日の進捗、528ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 20.0%) 

Volume 2 : HYPNOTIC ALTERATION   OF SENSORY, PERCEPTUAL    AND PSYCHOPHYSIOLOGICAL   PROCESSES

Discussion: Critical Comments on Hiblers Presentation of His Work on Negative Afterimages of Hypnotically Induced Hallucinated Colors
 Elizabeth M. Erickson Reprinted with permission from the Journal of Experimental Psychology, August, 1941 29.164-170. 

Induction of Color Blindness by a Technique of Hypnotic Suggestion 
Milton H. Erickson Reprinted with permission fromThe Journal of General Psychology, 1939, 29, 61-89. 


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html
[2]https://www.amazon.co.jp/Experiencing-Hypnosis-Therapeutic-Approaches-Altered/dp/0829002464

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