2017年4月11日火曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 101日目


                                                                                                                            
 人間が人工知能に勝つところがあるとすれば、

 意図せず創造的なミスをやらかす、それが案外面白い展開になる、

 という1点だけだろうなぁと(笑)。

 <ひとりごと>



はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 101日目について書いておきたい。


臨床と実験的なトランス
     「Clinical and Experimental Trance: Hypnotic Training and Time Required for their Development (1960)」から。著者はミルトン・エリクソン。論文というよりはメモ的な論考。

     内容は、臨床的な実験を行う場合、被験者に対して、その実験に適切なトランス誘導が行われているのか?また、そのトランス誘導が成功した後、被験者に対して適切な暗示が提供されているのか?についての論考。

     面白いのは1960年時点でこんなことを振り返っている点。おそらく臨床催眠自体がほどんと体系化されてこなかったことを言っているように思われる。また、興味深いのは振り返るとエリクソン自身も随分ミスをしたと告白している点だ。エリクソンの技法は気の遠くなるような試行錯誤によって支えられているということだろう。

     さて、これらの裏を返すと、その検証を行う場合、どのように被験者を適切なトランス状態に導くのか?トランス状態に導いた後でどのように適切な暗示が提供されるのか?というのがエリクソンのテーマの一つでもあることが推測される。

     さらにいくつかの重要な示唆が含まれている。例えば以下だ、


    Hypnosis can be employed to elicit purely responsive behavior.

    催眠は、純粋に応答性のある振る舞いを引き出すために用いることができる。

     
    エリクソンは、クリティカルに動く意識をすり抜け、何かの出来事に無意識の反応を引き出すために使うことが可能だ、と言っている。
     
        また、エリクソンは実験に適切なトランス状態の定義を試みている。



    An adequate experimental trance state is one in which the passive responsiveness of the subject is utilized only to control and direct the selection of the general type of behavior desired ,with the entire course of the development of the behavior once initiated dependent upon the individual reaction patterns of the subject. 

    適切な実験的トランス状態は、被験者の受動的応答性が、望まれる一般的な行動のタイプの選択を制御し、指示するためにのみ利用される状態であり、被験体の個々の反応パターンに依存して、先んじて開始された行動の発達の全過程である。

         
     技法的には細かいことは書いていない。

    ・・・・・・・ 


    鎮痛と記憶喪失?実験催眠と臨床催眠の違い

       「Laboratory and Clinical Hypnosis: The Same or Different Phenomena?(1967)」から。著者はミルトン・エリクソン。

          The American Journal of Clinical Hypnosisの学会誌への掲載は1967年だが、話の内容は1924年、1925年とエリクソンがウィスコンシン大学へ通っていた時の話。2人の被験者が登場する。

       一人目の被験者は、Hで陸上選手。ジャンプの練習中に舌をかんで大怪我をする。病院に運び込まれ外科治療を受けるも大会を翌週に控え、その他の治療を拒否し、以前から被験者だったHは、催眠による痛みの緩和をはかるべくエリクソンのもとにやってくる。

        それからHは三週間ほど行方をくらますが、その後エリクソンのもとにやってきて、ここ3週間で起きた特に舌に麻酔のような効果が起きたことについて話はじめる・・・・

       とざっとこんな内容

      随考

            今日のところというより昨日の続きだが、少しメモしておきたい。

       「Hypnosis The Myths, The Truth and Techniques 」というのをちょっとパラパラ読んでみた。

        ここに、治療的ダブル・バインドの一つである(意識-無意識の)二重分離のダブル・バインドの言語パターンが掲載されている。これだけつぶやけばOKというわけではないが、「時間歪曲」の催眠現象を引き出す方向に誘導する一つのパターンとしては参考になるだろう。
       
       復習すると、二重分離のダブル・バインドは公式としては以下だった、


      Your conscious mind can X, while your unconscious mind can Y; or your unconscious mind can X while your conscious mind does Y.

       
        で時間歪曲の例は以下の感じになる。ここでは意識-無意識は省略されているが構造は上の公式と同じだ。


      In hypnotic time a whole hour can seem like a minute as in waking time a whole minute can stretch into an hour.


       そして、「腕浮揚+退行」のトランスインダクションと併せて使う感じだが、これは「Milton Erickson」のような感じになる。これで辛い経験は短縮し、愉しい経験を伸ばす、もっというとエリクソンは原因分析は行わない、
       
       もっとも日本語で使う場合単なる「西暦」が機能するかどうかは疑問なところがあるので、学年とか「昭和」「平成」とかにに置き換える必要があるように思えるが・・・・何れにしてもそのあたりで言われる「退行催眠」とはまったく別物であることには違いない(笑)。


      4月11日の進捗、804ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 30.4%) 

      Volume 2 : HYPNOTIC ALTERATION   OF SENSORY, PERCEPTUAL    AND PSYCHOPHYSIOLOGICAL   PROCESSES

      Clinical and Experimental Trance: Hypnotic Training and Time Required for their Development 
      Milton H. Erickson Unpublished discussion, circa 1960.

      Laboratory and Clinical Hypnosis: The Same or Different Phenomena? 
      Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, January 1967, 9, 166-170. 



      (つづく)

      文献
      [1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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