2017年4月15日土曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 105日目


                                                                                                                            
 やはり、アーネスト・ロッシが傍らにいないと、

 個人的に満足できるレベルの、

 細かい技法の話にはならないなぁ〜(笑)。

 <ひとりごと>



はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 105日目について書いておきたい。

催眠における変化の手がかり
 
 「Expectancy and Minimal Sensory Cues in Hypnosis (1960s)」から。
エリクソンの書きかけのレポート、とある。1960年代に書かれたものだが、エリクソンの考え方の根幹が分かる意味では面白いレポートだ。

 内容は、エリクソンが医学生あるいは臨床心理学の博士号取得予定者に向けて出していた授業中のエクソサイズの概要だ。おそらく、エリクソンが言いたいことは一人ひとりをよく観察し、小さな「変化の手がかり」を見つけ、それを利用することでクライアントの望む変化を支援していくことの重要性だ。

 エリクソンの言っている「一人ひとりは唯一無二の個人である。したがって、心理療法は個人のニーズの独自性を満たすように処方されるべきであり、人間の行動の理論の仮説を画一的にその人に当てはめるべきではない」を実験で体感してもらうという意味もあるのだろう。

 また、一般的に、「変化の手がかり」は非常にちいさなものなので、周辺視野も使って、常識や偏見を排してマインドフルネスによく観察し、被験者から受けるなんとなくの違和感を受け取れるようにしないと気づかない。

 内容は、こんな感じ。

  • 自分で夢遊病的トランス(somnambulistic trance)に入れる人が被験者になる
  • 被験者が自分でトランスに入る
  • 1〜6人くらいのグループになった実験者である生徒が被験者に暗示を出す
  • 適当な催眠現象を引き出していく
  • 実験者は最小限の変化の手がかりを見つける
  • さらに暗示を出す
  • 被験者の「変化のレベレッジ・ポイント」となる五感の変化を支援する
  • 結果、被験者の振る舞いの変化を支援する

 もちろん、概要だけで細かい技法の話は書いていない。昨日、再読してみたが、このあたりは、エリクソンとロッシの「Hypnotherapy - An Exploratory Casebook 」などに詳しい技法が書かれている。また、実験でおもしろおかしくやっている時は直接暗示でよいかもしれないが、上の著作にもあるようにエリクソンのスタイルでは当然、間接暗示になる。

 また、ここで最小限の手がかり(Minimal Cues)と呼んでいるのは被験者が行動を変化させるための五感の感覚だ。これはシステム思考の「レバレッジ・ポイント(てこの支点)」と言われるものに等しい。つまり、被験者を生きているシステムと見て、その変化を支援するための「レバレッジ・ポイント」となる五感の感覚を探し、その情報処理プロセスを変える支援をするということだ。

 また、これはコミュニケーションの相互作用の中で行われる。

サイバネティクスからみた制御は1)入り口で行う、2)中間で行う、3)出口で行うの三種類があるが、ここでは被験者の変化を支援するために情報の入り口である五感の感覚の変化を支援する形式になっている。これがシステムのレバレッジ・ポイントになっており、入り口の情報処理が変わることで、結果振る舞いが変わるということになる。このあたりは、あえてモデルで説明すれば、クリス・アージリスの「推論のはしご」ということになるだろう。もちろん、エリクソンがやっているのは意識で行うクリティカル・シンキングの部分を緩めて、無意識レベルからの変化を支援する形式になっている。

 何れにしても、非常にシンプルな実験の中に問題解決や創造性の発揮をねらいとした「変化」のやり方に過ぎないが、コミュニケーションの相互作用やシステム思考的な要素がてんこ盛りになっていることが分かる。

 ・・・・・・・・・

 もちろん、こういったエッセーにも近いエリクソンの文章を読むと、別に臨床心理学に限ったことでもない、一般的に人や組織が変化するということはどういったことか?また、その変化を支援するにはどうすればよいのか?について仕事や日常の場面での実務レベルでのヒントが得られるのは面白いところだ。


催眠研究による心理学的な課題
 
 「Basic Psychological Problems in Hypnotic Research(1962)」。

 二本目は途中まで。

 もちろん、エリクソンが対象としているのは臨床催眠だったり、科学的な根拠のある研究ということなのだが、ここに対象を絞っても、『像と7人の盲人』のようで、研究者によって切り口も違えば、対象も内容も違うために「催眠」といってもまったく収拾がつかない状態になっている。さて、困ったものだ、というのがこのエッセーの趣旨だ。

 もちろん、エリクソンは事例とも言える物語を引きながらわかりやすく解説していくというのがこのエッセーだ。

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    随考

      縦糸にサイバネティクス、横糸にエリクソンの技法をを織り込んでいっている格好になっているが、この作業は案外どころかかなり面白い。

     こうすることで、コーチングでもファシリテーションでもよいのだが、はじめて人や組織の認識や行動の変化を支援できると確信を持てる。

      また、以外かもしれないがエリクソンは問題の見立てを優秀なコンサルタントがやっているような形式でやっているということもある。一例だが、「すきっ歯」から水を吹き出した女性の事例があるが、実はエリクソン論文全集にはその前段の見立てが詳しく書いてあって、このあたりで書いた、ようなことをやっていることが分かる。もちろん、ここでいう原因分析はエリクソンの場合は現状の不都合なパターンを起こしている要因、ということになるのだろうが・・・・


    4月15日の進捗、836ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 31.6%) 

    Volume 2 : HYPNOTIC ALTERATION   OF SENSORY, PERCEPTUAL    AND PSYCHOPHYSIOLOGICAL   PROCESSES

    Expectancy and Minimal Sensory Cues in Hypnosis
    Milton H. Erickson Incomplete report written in the 1960s.

    Basic Psychological Problems in Hypnotic Research
    Milton H. Erickson Reprinted with permission from G. Estabrooks (Ed.), Hypnosis: Current Problems. New York: Harper & Row, 1962, 207-223. 



    (つづく)

    文献
    [1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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