2017年4月29日土曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 119日目


                                                                                                                            
 エリクソンが重要視するのは、

 過去学んだことを、今どのように利用できるかであって、

 それがなぜ起こったのかではない(笑)。

 <ひとりごと>



はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 119日目について書いておきたい。

退行催眠で思い出す記憶の正確さ?

 「Past Weekday Determination in Hypnotic and Waking States ( 1962)」から。内容は発表されなかった原稿。著者は、ミルトン・エリクソンと三男のアラン・エリクソン。

 原稿の日付は、1962年でエリクソンは既に還暦を過ぎているが、1920年代と1930年代に行った退行催眠の実験についての振り返りとなっている。

 簡単にいうと、覚めた状態で、被験者の7歳とか8歳とか9歳の誕生日などの出来事が何曜日だったか?と聞く。さらに退行催眠と使って同じ質問をする。これに違いがあるかどうかを観察するというもの。

 要は、覚醒時と催眠時の記憶の正確さの違いのようなものを比較したかったのだと思う。

 ここで行っているのは本当に純粋な実験。 
 
・・・・・・・・・・・
  

随考

    ネットにエリクソンの退行催眠の技法について書かれているドキュメント「Age regression」が落ちていた。

 論文全集の中にあった記憶があるので素性は怪しくない。ただし、エリクソンは色々創造的な技法を使うので、ここで書かれている3つの技法だけを使っていたわけではない。

   また、エリクソンが退行させるのは物心ついてから現在までの経験の範囲での時系列だ。その意味、前世だ来世だというような変なオカルトとは無縁の話だ。

 さらに、エリクソンの文章だと「学習」というコトバが頻繁に登場する。つまり、年齢退行はあくまでも「学習」の文脈で使われる。

 Wikipeidaに「State-dependent Memory」という項目がある。 状態依存の記憶や状態依存の学習と呼ばれる概念だ。これは、学習したことを思い出すのに、それを学習した時と同じ心身状態になることでそれを容易に思い出せるということだ。もちろん、今、学習する時にもその心身状態は有効だろう。

 これは、何かを学んだ経験、学ぶ時の心身状態、学び方のプロセスなど・・・今どのように活かせるのか?という意味での「状態依存」の振り返りがエリクソンの退行催眠だということだ。当然、現在、狼狽していたり、恐怖を感じたり、テンパったりしていたら、学習したことを思い出すのは難しい。だから、「学習」した時と同じ状態になり、そのよい状態を思い出し、学習したコンテンツなり法則なりを思い出し、現在の問題解決なりに活かすために退行して取ってくるということになる。

 その意味、探求するのは「学習」ということであって、その出来事の原因ではないということだ。エリクソンは精神分析学派とはまったく違うことを行っているので、出来事の原因分析という枠組みでも見てもまったく理解できない。もちろん、エリクソンの場合はアンラーニング、つまり今新しいことを学ぶ足かせになっている過去の制約をリフレーミングする、あるいは忘れる支援をするという場合もある。

 さて、ドキュメントを読むと3種類の退行催眠の誘導方法が例示されている。

 一つは、混乱技法。要は、昨日、先週、1年前、明日、明後日・・・のようにワーキングメモリーのオーバーフローを利用した形式で、混乱させながら、コトバにある時間のインデックスを遡りながら記憶を退行してもらう形式になる。

 二つ目は、映画のスクリーンを思い浮かべる技法。ここに何か映画が上映され観客席からイメージ見ていることをイメージしてもらう。そして、エリクソンは「その小さな子どもはあなたのようでもありますね」と、ぽつりとつぶやく。要は、解離というかメタ認知を促しているような格好になっているのは興味深い。

 三つ目は、エリクソンの奥さんのベティー・エリクソンの技法。道を歩きながら、右に、左に右に右にに左へ・・・・とやってバリケードに囲まれた場所に歩いていくことをイメージする方法。

 もちろん、これだけやってもだめで、過去の学びを今のリソースとして持ってくるというのが基本ということになる。その意味、点と点が線になり、線と線が面になるように利用するということだ。

 

4月29日の進捗、946ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 35.7%)

Volume III
HYPNOTIC   INVESTIGATION OF   PSYCHODYNAMIC PROCESSES

Past Weekday Determination in Hypnotic and Waking States
Milton H. Erickson and Allan H. Erickson Unpublished manuscript written with Allan Erickson, 1962.





(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html

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