2017年5月13日土曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 133日目


                                                                                                                            
     ミルトン・エリクソンの技法は案外マインドフルネス(笑)。

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 133日目について書いておきたい。


エリクソン的ジキルとハイド?

 「Permanent Relief of an Obsessional Phobia By Means of Communications With an Unsuspected Dual Personality (1939) 」。著者はミルトン・エリクソンとローレンス・クビエ。

 クライアントは20歳の大学生の女性。この女性は、冷蔵庫、台所のドア、研究室のドア、はたまたロッカーのドアなど、ドアが開いているかもしれないことが気になる強迫神経症だ。

 面白いのは、この女性が起きている時はミス・ディモンとして扱い、催眠中に副人格であるミス・ブラウンという人格で扱うように暗示していることだ。ある意味、ジキルとハイドを地でいっているような、事実は小説より奇なりのようなことになっている。もちろん、ジキルとハイドは善悪だが、ディモンとブラウンは意識、無意識のような関係だ。

 また、催眠に導き自動書記を行ってもらう。

 概要を話すとこのような感じになる。詳細は明日以降。
 

随考

 Youtubeに TEDの「いまこの瞬間に大きく目を開く」というタイトルの講演がアップロードされていたので視聴してみた。
 

 このフランス人の禅の尼僧の講演はかなり面白い。特に面白いと思ったのはこの脚注に書かれている「彼女はエリクソン催眠療法を学ぶことで、自らを乗り越えることに情熱を傾けています」というところだ。

 これに関連するが、同じようにグレゴリー・ベイトソン、ジェイ・ヘイリーらがエリクソンの技法と禅との共通点を見ていた。このあたりで書いた話だ。もちろん、個人的には禅でも曹洞宗、臨済宗、黄檗宗の違いくらいは分かる。

 ただし、これだけでは芸がないし薄い。ネットに「Hypnotically Induced Dissociation (HID) as a strategic intervention for enhancing OCD treatment(2011)」というタイトルの The American Journal of Clinical Hypnosisに投稿された論文を読んでみたが、この尼僧が話しているのもまさにこの話だ。

 具体的には、Hypnotically Induced Dissociation(HID)と呼ばれる催眠で誘導される解離の心身状態について書かれている。要は、今ココで起こっていることを、メタの視点で俯瞰的に眺めているような状態だ。尼僧の場合、自分で出来るようになる話をしているが、この論文ではセラピストが催眠誘導の技法でクライアントをこの心身状態へ誘うというのがここでのテーマということになる。ただし、やっていることはほとんど同じことだ。
 
 この論文を更に読んで見ると、以下の記述がある、


The literature on the use of hypnosis in treating OCD is limited. One of the most classic clinical cases reported in the hypnosis literature is that of Milton Erickson’s treatment of an “obsessional neurosis” in a young woman (Erickson & Kubie, 1980/1939). By means of automatic writing (that can be seen as a classical hypno-dissociative intervention), Erickson guided the patient to the traumatic grounds of her difficulty and eventually to the resolution of her obsessions. 

OCDの治療における催眠の使用に関する文献は限られている。 催眠術の文献で報告されている最も古典的な臨床的症例の1つは、若い女性(「Erickson&Kubie、1980/1939」)における「強迫神経症」のミルトン・エリクソンの治療の事例である。 エリクソンは、自動執筆(これは古典的な催眠解離的介入と見なすことができる)によって、患者を彼女の困難の外傷的な根拠に導き、最終的に彼女の強迫観念の解決に導いた。

 
要は、今日、上で読んだエリクソンの論文の話だ。こう考えていくと、点と点が線に、線と線が面に、面と面が立体にとなっていく。

 さらに、この論文で、ダブル・バインドを使った解離について書かれているが、これは、NBCIのデータ・ベースに上がっていたエリクソニアンであるスティーブン・ランクトンの「Conscious/Unconscious Dissociation Induction: Increasing Hypnotic Performance With "Resistant" Clients.」という話になってくる。要は二重解離のダブル・バインドを使え、という話だ。

 ここまでつらつら書いたが、あまり難しく考える必要はない。尼僧が Youtubeで語っている話が基本だということだ。尼僧は自分で気持ちや五感で分かる身体感覚に注意を向けるように言うが、エリクソンの場合は、間接的な表現でそれに気づくように示唆される。例えば「私にはよく分かりませんが、あなたは自身の気持ちに変化が起き始めていることとしてある種の感覚に気づきはじめているのかもしれません・・・」というような誘導だ。この違いはあるが基本的なことは同じだということだ。まずは、今ココでこのメタ認知を促すことから始めるということになる。


5月13日の進捗、1050ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 39.7%)

Volume III
HYPNOTIC   INVESTIGATION OF   PSYCHODYNAMIC PROCESSES

Permanent Relief of an Obsessional Phobia By Means of Communications With an Unsuspected Dual Personality
Milton H. Erickson and Lawrence S. Kubie Reprinted with permission from The Psychoanalytic Quarterly, October 1939, Vol. VIII, No. 4. 







お知らせ:

ミルトン・エリクソンの本質を突き詰めたから分かったことがあります。

 組織のパラドクスを解消し、組織の認識、行動の変化を支援する、
「変化・創発ファシリテーション」のオンデマンド、オンサイト講座を開始いたします。

詳細は、こちらから。

(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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