2017年5月17日水曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 137日目


                                                                                                                            
 点と点がつながって線になる?

 重要なのは、その視点と関係付けのロジック。

 個人的には、ロジックとしてのアブダクションとメタファーが気になる(笑)。

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 137日目について書いておきたい。


二重人格の臨床的な発見

 「The Clinical Discovery of a Dual Personality(1940s)」から。出版されなかった原稿で著者はミルトン・エリクソン。

     本稿に書かれているテーマは二重人格。エリクソンがこの原稿を書く60年ほど前から知られていたようだ。エリクソンは、500人ほどの被験者を催眠状態にして色々調査した結果、4人ほどこの二重人格のクライアントがいたことを語り始める。

 もちろん、催眠状態において普段とは少し違う振る舞いをする時のことを二重人格とは言っておらず、明示的に区別される。

 ここで、ある二重人格と思われるクライアントの調査を始める・・・というところから話がはじまる・・・・

・・・・・・・

 とりあえず、最後まで読んだけれど、ここはスキップでよいかなぁ。理由は事例が特殊だから。

随考

 今日は、自分のベイトソニアンとしての趣味の世界だ。だから自分のメモとして書いておく。

 お題は、スティーブ・ジョブズがスタンフォードの卒業式の講演で語った、点としての経験はいつしか繋がって線になるという Connecting the Dots のような世界だが、これをもう少し意図して起こせないか?という話でもある。ただし、これを社会科学的に説明したり理論化しようとすると、途端に面倒臭くなる話でもある。

 これに関して、ミルトン・エリクソンの技法を形式知化しようと考えると面倒臭いことになる構図と同じだ。ベイトソンがここに直線的因果関係ではなく円環的因果関係の世界を考えていたからだ。ベイトソンはこれを石を投げた時の軌道はニュートンの運動方程式に従うが、犬を蹴った時はそうはならないという比喩で説明していた。つまり、生き物の世界や社会科学の世界の世界を直線的因果で記述するのは無理があるということだ。

 これに関係して、ベイトソンが今や単なる自己啓発になっているNLP(Neuro-Linguistic Programming)が直線的因果関係でエリクソンを形式知化していて激怒した話はこのあたりで書いた。が、これは本当は深い話なのだ。

だから、ベイトソンたちは、エリクソンの技法の形式知化としてシステム論としては第二次サイバネティクスをくぐらせることになる。円環的因果関係を扱うためでもある。

 ネットに「Two forms of meta-reflexivity - positioning in the core of staged dialogue」というタイトルのエッセーが落ちていた。要は、企業のマネジメントとして不確実性と変化を可能性へと転換するためには、《メタリフレクシビティ》が重要な役割を果たすという趣旨のエッセーだ。それで、この《メタリフレクシビティ》とはなんぞや?という話になってくる。

 まず、reflexivity ということだが Wikipediaに「原因と結果の円環的関係を示す」 というのがある。簡単に(円環的因果の)結ばれ合うパターンということだ。入れ子になっているので(円環的因果の)結ばれ合うパターンについての結ばれ合うパターンということになる。つまり、メタの結ばれ合うパターンだ。

   ここで、不確実性とか変化について考えてみる。普通に考えると、ここに円環的因果でフラクタル構造の何かのパターンが存在している。それで、このフラクタル構造を活用して将来の可能性を見つけるにはこのメタフレクシビティの視点が重要だというのがここでの趣旨だ。これで、点と点をつなげて線にするための物事の見方を、ウンベルト・マトゥラーナの生物学的なオートポイエーシスと、ニクラス・ルーマンの社会システム論的なオートポイエーシスで説明してみましたというのがこのエッセーの趣旨という具合だ。

 で、結局、企業では何をしたら点と点が繋がって線になるの?ということになるのだが、アプリシエイティブ・インクワイアリーみたいなことをやって点と点の間の線を見つけてみましょう、という話になるようだ。

 このエッセーの後ろのほうではカール・トムの質問システムについての話が少し書かれている理由も分かってくるという具合だ。アプリシエイティブ・インクワイアリーは、ミラノ派家族療法やカール・トムの質問がわかっていれば案外容易にできる。ただし、ここでは変数としての企業文化や商習慣、あるいは国や地域の文化風習を取り込まないと上手くいかないような気もしている。だから、それが出来るミラノ派やカール・トムの質問システムを使うのが個人的なお勧めでもある。これで、文化や風習を変数として取り込める。逆にいうとこれが出来ないフレームワークを使っても意味がない。うちの業界は違う、うちの会社は違うというのを封じ込められないからだ。

   さて、さらにCybernetics And Human Knowing 誌のベイトソン生誕100周年記念号に掲載されている「Patterns That Connect Patterns That Connect」を読み直してみることになる。このエッセーはベイトソンのオリジナルの「Pattern that connects」(結ばれ合うパターン)に対する、結ばれ合うパターンのパターンということになる。上のエッセーとの共通点を探ると面白い。もっとも、まったく同じメタ・パターンということなのだが・・・

 それで、最初のエッセーに戻ると、ジョブズのように大金持ちになれるかどうか?は保留しておいて、その人なりに、あるいはその家族なりその企業組織に意味のある、点と点がつながった線は、「結ばれ合うパターンについての結ばれ合うパターン」観察しながらこの視点になることで比較的簡単に探せるなと、考えている今日この頃ではある。

 実は、ベイトソンな視点から見ると、エリクソンがクライアントを催眠状態にして支援していたのも、実はそのクライアントに取って意味のある「結ばれ合うパターンの結ばれ合うパターン」の発見ということになる。もっとも、パターンについてパターンとやることで自然とメタの視点を取れているのが重要なポイントということにはなるだろう。これで、点と点がつながった線として資源・資質(リソース)見ることのできる視点を取ることができるようになる。

 余談だが、10年以上前から日本語で出ているオートポイエーシス関連の著作は河本英夫氏の翻訳・著作をはじめだいたい目を通してきたが、最近はこの点と点が繋がった感はある。当初は単なるシステムうんちくと思っていたものが、まさか家族療法として実際の技法に実装されてここまで使えるとは当初予想だにせず、よい意味で期待が大きく裏切られた格好になっている(笑)。

 
5月17日の進捗、1080ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 40.9%)

Volume III
HYPNOTIC   INVESTIGATION OF   PSYCHODYNAMIC PROCESSES

The Clinical Discovery of a Dual Personality
Milton H. Erickson Unpublished manuscript, circa 1940s. 





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ミルトン・エリクソンの本質を突き詰めたから分かったことがあります。

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詳細は、こちらから。

(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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