2017年5月28日日曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 148日目


                                                                                                                            
 書いてあることは、

 やってみなきゃ分からない。

 ただし、そこから何を学び、再度何をやっていくかは、もっと重要だったりする(笑)。

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 148日目について書いておきたい。


催眠の精神医学への応用

「Applications of Hypnosis to Psychiatry (1939)」から。著者はミルトン・エリクソン。タイトルからすると「催眠の精神医学への応用」ということになる。1937年にカナダのオンタリオ州ロンドンで開かれたオンタリオ精神医学会でエリクソンが講演した内容をベースにして1939年に文字に起こして出された論文ということになる。そのためか、口語調で読んで見ると調子がよい。

 内容は、

  • 催眠の歴史的背景
  • 催眠の技法
  • 催眠現象の利用(ユーティライゼーション)
 について述べられている。ここで重要なことは、被験者から催眠現象を引き出し、それを症状を緩和したり低減するためにどのように利用するのか?という視点で語られていることだろう。この後スタイルが確立されるエリクソニアン・アプローチの萌芽が見られるということでもある。

 余談として、このあたりで書いた。これよりは後年の1955年頃になるが、Youtubeにエリクソンの講演の模様が落ちているので雰囲気は掴むことができるだろう。
・・・・・・・・・


随考

ミルトン・エリクソンを継承する心理療法家のことを広義にエリクソニアンと呼ぶ。ただし、エリクソンに直接師事して伝統芸能の内弟子のようにして学んだエリクソニアンはより特別な意味を持っている。こちらは狭義のエリクソニアンということになるだろう1970年代にエリクソンの家で庭師のアルバイトをしながらエリクソンから直接学んだビル・オハンロンもその狭義のエリクソニアンの一人だ。
 
そのオハンロンの著作「人生を劇的に変えるほんの少しの習慣」を読んだ。オハンロンの功績は、エリクソン派生の技法から神秘的な部分や難しい部分を除いて徹底的に平易に説明したところだろう。本書もその特徴を持っている。
 
 
 本書は、「The Change Your Life Book(2012)」の翻訳で、昨年の8月に邦訳され出版されていたようだが、個人的には気がついていなかった。

 本書のコンセプトは、「世界で一番平易なミルトン・エリクソンの本」「エリクソンの技法で生活に変化をもたらす本」ということになるだろう。日常生活でうまくいっていないと感じていることがあっても、そのパターンからうまく抜け出すための130のヒントが3つのカテゴリー1)行動を変える、2)見方を変える、3)環境を変える、で提供されているというのが本書の内容だ。

 もちろん、読んでも日常で実践しなかったらまったく意味はない。しかし、この130のヒントは、努力しないでもやろうと思えば出来ることばかりが詰まっているという具合だ。もちろん、明示的な「催眠」は必要ない。

 例えば、第一のヒントは、「表現の方法を変えてみる」。コトバで喧嘩を始めるとどこまでもエスカレーションするようなことになる。要は、「売り言葉に買い言葉」というやつだ。ベイトソン的には、シンメトリカルな関係がエスカレーションする、ということになるだろう。

 しかし、このようなことが予測される場合、表現の方法を変えて筆談で言いたいことを言ってみるという具合だ。メールやチャットで話をしてみるようなこともありだろう。こんな感じでコミュニケーションの表現方法を変えて、悪循環を変化させることで、なんらかよい方向に物事が進み始めることがあるということだ。

 非常に簡単に読めて、一見自己啓発本に見えるが、実践していくと、案外内容は深い。
グレゴリー・ベイトソン的に説明すると、知らず知らずのうちにに直線的思考からシステム思考を練習してもらっている、という説明になるのかもしれない。

直線的思考の焦点
システム思考の焦点
個人

意図

内容

個別の出来事

過去、経緯

直線的因果関係
関係

効果、結果

プロセス

繰り返されるパターン

現在

円環的因果関係


 さて、1952年生まれで、エリクソンに出会った時は20歳代の小僧だったオハンロンも既に還暦を過ぎている。そして、エリクソンは1980年に鬼籍に入っているのエリクソンから直接教えを受けることはできない。しかし、この本はエリクソンから直接教えを受けなくても、日々、簡単なことを兎に角実践することで、エリクソニアンの世界にすぅーと入っていける、という本ではあるだろう。

その意味では、エリクソンの家に通って庭師のアルバイトをしなくても学べるという優れた本であるのは間違いない(笑)。

5月28日の進捗、1166ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 44.0%)

Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY

Applications of Hypnosis to Psychiatry
Milton H. Erickson Reprinted with permission from the Medical Record, July 19, 1939, pp. 60-65, originally from an address given before the Ontario Neuropsychiatric Association, March 18, 1937, at London, Ontario.








お知らせ:

ミルトン・エリクソンの本質を突き詰めたから分かったことがあります。

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詳細は、こちらから。


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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