2017年5月30日火曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 150日目


                                                                                                                            
 
     結局、催眠ってどんな病状に適用できるのだろうなぁ?


   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 150日目について書いておきたい。


医学における催眠

「Hypnosis in Medicine (1944) 」つづきから。著者はミルトン・エリクソン。

―― 催眠現象について――

 一般的な催眠現象について、は以下がある。

  • ラポール
  • カタレプシー
  • 観念運動
  • 観念知覚
  • 記憶修正(健忘、記憶増進、歪曲など)
  • トランスでの歩行
  • 時間歪曲(1950年代に発見)
  • 催眠による夢
  • 後催眠暗示
 この論文で何が指摘され、何が指摘されていないのか?を比較してみると面白い。要は、まだこの当時、時間歪曲は発見されていない。

  ――催眠の価値 について――

 医師他が催眠を学ぶと何かよいのか?について書かれている。

 ―― 事例、結論となる――

 要は、第二次大戦が終わる前年に発表された論文でエリクソン言いたかったことは。それまで、迷信、恐怖、怪しく思われていた催眠に対して科学的な光が当てられつつあり、このような認識が置き換えられつつあるということだ。それで、心理療法や医療において、クライアントの性格や行動に対する理解を得るために催眠を使うことができるという主張だ。

・・・・・・・・・


テスト付き

 ―― 催眠というのはどのような症状に効果があるのか?――
 
 ふと、こういった疑問が湧いてくることがある。

 ここでまず、最初にお断りしておく。個人的には医者でも臨床心理士でもないので診断をしたり、治療にあたる立場にはない。また、こういった治療法が有効だとアドバイスをする立場でもない。したがって、単なる、ネットに落ちていた論文を面白おかしく読んでいる一読者という立場で書いている。

 ―― 催眠がどのような症状に有効か?まとめられた資料は無いのか?――

 ネットに「WHAT WE CAN DO WITH HYPNOSIS(2008)」というタイトルの論文がある。ミルトン・エリクソンらが1957年に設立した臨床催眠の学科 The American Society of Clinical Hypnosis の学会誌である The American Journal of Clinical Hypnosis に掲載された論文だ。設立から50周年を迎えた2008年に出されている。内容は、過去50年臨床催眠が用いられた32の症例について、催眠の有効性の有効性の観点からメタ分析を行ったという内容だ。学術的な団体から出されている論文だから、それなりには信憑性が高いだろう。それで、対象となっている症状は以下の通りだ。

  1. 急性疼痛(大人)
  2. 急性疼痛(小児)
  3. 拒食症
  4. ぜんそく発作への不安
  5. パブリック・スピーキングの不安
  6. 受験時の不安
  7. ぜんそく発作
  8. おねしょ、夜尿症
  9. 過食症
  10. ガンによる疼痛
  11. 科学療法の苦痛
  12. 嚢胞性線維症
  13. うつ
  14. 外科手術時の苦痛
  15. 十二指腸潰瘍の再発
  16. 線維筋痛
  17. 頭痛
  18. 偏頭痛
  19. 出血
  20. 高血圧
  21. 股関節または膝の変形性関節症の痛み
  22. 医学的に原因不明の不眠症
  23. 過敏性腸症候群
  24. 吐き気および悪阻
  25. 産科アプガースコア
  26. 産科の痛み
  27. 禁煙
  28. 手術の痛み(成人)
  29. 手術の痛み(小児)
  30. トラウマからの回復
  31. イボの除去
  32. 減量、ダイエット
 ――これから何が分かるのか?――


  一つは催眠が用いられ効果があるとされているのがこの症状に対してだということだ。逆に言えば、ここから大きくハズレるような適応であり、かつ学術的に検証されていない範囲は注意が必要だということだ。

 例えば「催眠でガンを治る」と主張している人が居ると仮定する。もちろん、この場合プラセボ効果で治ってしまうことを完全に否定するわけではないが、少なくとも米国臨床催眠の学会が催眠の効果として認めているのは、あくまでも神経学的に痛みを低減できたり、不安を和らげたり、習慣を変えるところまで、ということが分かってくるという具合だ。もちろん、ここにリストされている症状に対する催眠の効果についても個人差はあるだろう。

 何れにしても、学術論文がなく個別の統計的分析もメタ分析もなしの状態で極端なことを言っている記事などには気を付けたほうがよいのだろう。逆にいうと可能性とその限界を統計的に把握するために学術論文があるという具合だ。

―― エリクソン派生の技法をコーチングで使う場合に注意することは?――
 
 個人的にはこのあたりを避けてコーチングやファシリテーションあるいは組織マネジメントに限ってエリクソン派生の方法論を使用している形式にはなっているが、うっかり医療の分野に踏み込まないために、このあたりの範囲を把握しておくのは大事だと思っている。

 ぜんそくの治療をしましょうというと医療行為だが、ぜんそくの発作に対する不安を和らげましょう、とかパブリック・スピーキングの不安を低減しましょう、となるとコーチングの範囲にも重なってくるのでこの切り分けが難しいところではある・・・・・・それで、感覚的にぜんそくの発作についての不安低減は自分の範囲外で、パブリック・スピーキングの不安の低減は範囲内でもいいかなぁという感じにはなっている。もちろん、個人的には目標達成や認識や行動の変化や学習を支援することであり、そのためにパブリック・スピーキングが出来ないことが大きな制約になっているとしたら支援する感じにはなっている。

―― 今日の論文から何を学ぶのか?――

 何れにしてもこういったメタ分析を行った資料というのは、怪しいサービスに騙されたり、うっかり自分が医療分野に足を踏み込むことを防ぐ指針とはなるのだろう。もちろん、催眠自体にはたいした害はないのかもしれないが、催眠に固執することで本来受けられるはずだった他の治療を妨げることを防ぐ重要性は理解できるように思ってくる。

5月30日の進捗、1180ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 44.6%)

ボリュームIV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY

Hypnosis in Medicine Milton H. Erickson
Reprinted with permission fromThe Medical Clinics of North America, May, 1944, New York Number.







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(つづく)

文献
[1] http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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