2017年6月10日土曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 161日目


                                                                                                                            
 
 第二次サイバネティクスが分からなかったら、

 ミルトン・エリクソンは理解できないなぁ(笑)。

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 161日目について書いておきたい。

トゥレット症候群に対する実験的催眠療法

「Experimental Hypnotherapy in Tourette's Disease (1965)」から。著者は、ミルトン・エリクソン。

 2人の患者が登場する、両者とも30代半ば、一人は3人の子供を持つ既婚女性、もう1人は子供がいない既婚者、トゥレット症候群に罹患している。

 両方とも急性急性発症の病歴があり、両方とも約2年間の治療が必要であり、治療セッションは治療が継続するにつれて頻度は少なくなった。両者とも 催眠療法を要求し、それが救済になると確信していた。 状態は、発症ともに、急性および外来性であり、顕著に類似していた。

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 とざっとはこんなところから話が始まる。もちろん、ここでは単に論文を読んでいるだけで、当該の症状について効果が認められると主張したいわけではない。
 

随考

―― エリクソニアン催眠療法のサイバネティク・モデル――
 
 ネットにウィリアム・マシューズの「A CYBERNETIC MODEL OF ERICKSONIAN HYPNOTHERAPY」という文書が落ちていた。元々はエリクソニアンのスティーブ・ランクトンの著作の中に収録されている論文だ。


The work of Milton Erickson has long been associated with the North American school of strategic therapy, This view takes a pragmatic or "what works" approach to psychotherapy and de-emphasizes the value of theory in clinical practice. Clinical practice separated from theory can lead to the arbitrary application of technique and possible harm to the client.

The purpose of this paper is twofold: (1) to underscore the important mutual relationship between theory and practice; and (2) to present a cybernetic or recursive model of Ericksonian hypnotherapy, A cybernetic perspective emphasizes the mutually influencing client-therapist relationship rather than viewing the therapist as independent from the client's behavior, Specifically, the interactions of the therapist-client system in relationship to diagnosis, treatment goals, and Ericksonian treatment interventions such as utilization, indirection, hypnosis, and metaphor are presented within a cybernetic model.

 ミルトン・エリクソンの取り組みは、北米の戦略治療学派と長い間関係してきた。この見解は、現実的な、または「何か機能する」アプローチを心理療法に適用し、臨床実践における理論の価値を強調しない。 理論から分離された臨床練習は、テクニックの任意の適用とクライアントへの害をもたらす可能性がある。

 この論文の目的は二つある:(1)理論と実践の間の重要な相互関係を強調する。 (2)エリクソニアン催眠療法のサイバネティックまたは再帰的モデルを提示するサイバネティクス的視点は、セラピストをクライアントの行動から独立して見るのではなく、相互に影響を及ぼすクライアント - セラピスト関係を強調する。具体的には、セラピスト - 診断、治療目標、およびエリクソン的治療介入(例えば、利用、間接、催眠、およびメタファー)は、サイバネティクスモデルの中で提示される。



   エリクソニアン・アプローチを学ぶ場合おおよそ2つある。一つはエリクソンの暗黙知を暗黙知として学ぶ場合。現在はエリクソンは鬼籍に入っているのでその弟子たちから直接学ぶということになるだろう。もう一つは、エリクソン派生の方法を学ぶ、これはエリクソンの暗黙知を第二次サイバネティクスを当てて形式知化した技法ということになる。例えば、MRI、戦略的家族療法、戦略的短期療法、ミラノ派家族療法、ソリューション・フォーカスト・アプローチなどがこれにあたるだろう。

 あまり大きな声では言えないが、エリクソンの技法の形式知化に成功しているのは、第二次サイバネティクスを当てた技法だ。例外はない。NLP(神経言語プログラミング)などは構造主義の生成文法を当てたものだから、円環的因果が反映できなくて、学術的には悲惨なことになっている。このあたりは案外深い話だ。もっと言うとサイバネティクスを知らない人間に説明するのは面倒臭い。

 だから、サイバネティクスが分からずにやっているエリクソニアン・アプローチは単に当てずっぽうでやっているに過ぎないということになる。そもそも、システム論的な見立てと介入ができない。その意味ではサイバネティクスとエリクソンの形式知を学ぶのは案外重要だ。

―― フォルスターとマトゥラーナ、システムうんちくを語り合う――


 オーストラリア生まれでドイツ語が母国語のハインツ・フォン・フォールスターとチリ生まれの神経学者で母国語がスペイン語のウンベルト・マトゥラーナが英語で語り合っている映像が Youtubeにアップロードされている。

 短期療法の成立について、第二次サイバネティクスという点からかなり影響を与えている2人ということになるが、語りあっている内容は中々面白い。

 ラテン語の Sci という接頭語だが、元々、分けるという意味だ。これが科学 Science にもなり 統合失調症を表すschizophrenia に成り得るという具合だ。この対局としてフォルスターは、統合を表す接頭語である Sy という話をはじめる。この話はフォルスターのおはこでもあるが、中々興味深い話だ。
   

6月10日の進捗、1268ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 47.9%)


Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY

Experimental Hypnotherapy in Tourette's Disease
Milton H. Erickson Reprinted with permission fromThe American Journal of Clinical Hypnosis, April, 1965, 7, 325-331.



お知らせ:

ミルトン・エリクソンの本質を突き詰めたから分かったことがあります。

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「変化・創発ファシリテーション」のオンデマンド、オンサイト講座を開始いたします。

詳細は、こちらから。


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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