2017年6月11日日曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 162日目


                                                                                                                            
 
 問題の症状をなくすことが、最終的なゴールではない。

 日常生活でも仕事でも同じ。

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 162日目について書いておきたい。

成功する権利と失敗する権利

「Hypnotherapy: The Patients Right to Both Success and Failure (1965)」から。著者は、ミルトン・エリクソン。

―― 何もを持って心理療法の成功とするのか?――

 エリクソン自身の心理療法の失敗への考察。エリクソンも人の子だ、失敗もする。そして、それについてあまり書いて来なかった。理由がよく分かっていなかったからだ。それで、失敗の要因は、クライアントへの目的への理解不足、あるいはクライアントの自身の目的の理解不足の何れかということになるようだ、と推測されている。

 ここで若い男性の事例が出て来る。男性は心理療法も受け身、統合失調症ぎみ、大家族で育つ。クライアントが望んでいるのは一部の症状の修正のみ、ということになる。

 こんな中クライアントが何人もの心理療法家を試しては変え、試しては変えしている時にエリクソンと出会うことになる。クライアントは症状を「恐怖」と呼んでいた。アリゾナ州フェニックスからテンペへ向かってドライブしていて市の境界を少しでも出ると、恐怖を感じる。卒倒する、フェニックスへ返りたくなる。卒倒は時に、10〜15分ほど続く。これが症状ということになる。義理の兄についてきてもらっても、友人についてきてもらっても症状は同じ。

 ここで、エリクソンが治療を開始する。

 一見、治療は成功したように思われた。また、大学も4年で卒業したが、今度は車を飛ばしてひもの切れたタコのようにあちこち飛び回るようになる。グランドキャニオンまで225マイルをドライブして不眠普及で往復するようなことになる。定職につても長続きせず、車全米のあちこちを探し回るようなことになる。こんな感じだ。

 そこでエリクソンは自問自答する。結局、ここでの心理療法の成功とは何だったのか?単に症状を抑えたからといって、クライアントが望んでいるものを得られることにつながるのか?これは疑問であるとともに、非常に深い話だ。これとは反対に、「ミルトン・エリクソン心理療法  ーレジリエンスを育てるー」の中に、症状がそれほどよくなったわけではないが、全身麻痺の男性が就職してトラック組合の委員長になり、大学に通い・・・と人生自体を変えた話が出てきた。

 併せて読むと、中々深い話になってくる。
 

随考

―― 小学生の情緒的な問題に対するエリクソニアン・アプローチ――

 ネットに「Ericksonian Hypnosis and Hypnotherapy: A Case Study of Two Primary School Children Experience Emotional Difficulties」というタイトルの論文が落ちていた。

 南アフリカのステレンボッシュ大学の修論の要件の一つとして提出された研究で、小学生の情緒的な問題についてエリクソニアン・アプローチを使って解決を試みてみました、という感じの論文になっている。

 個人的に興味深いのは、「ミルトン・エリクソン?誰それ?」というような前提知識の人が読んでも、エリクソンがどんな人で、エリクソニアン・アプローチがどのようなものか?理解できるように懇切丁寧に書かれていることだ。前提知識のない人でもエリクソニアン・アプローチの必要条件となる項目が理解できるようになっている。

   もちろん、学術研究になるので、エリクソンのようにまったくのフリー・スタイルというわけにはいかない。それで、ここで用いられているフレームワークがエリクソニアンのジェフリー・ザイクが体系化したエリクソニアン・ダイアモンドを活用しているということになる。

 もちろん、エリクソニアン・ダイアモンドはエリクソンのひとつの側面を反映した形式知ということであり、エリクソンの暗黙知の全てではないが、これを導入することで分かりやすくなっているのは確かだ。

 また、データの解析では、家族との関係や社会システム関係のつながりまで調査しているところだろう。この点が暗黙的だが、エリクソニアン・アプローチの家族療法へのつながりも意識していることになるだろう。

 その意味、とてもよく出来た論文のように思われる。

6月11日の進捗、1276ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 48.2%)


Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY

Hypnotherapy: The Patients Right to Both Success and Failure Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, January, 1965, 7, 254-257.





お知らせ:

ミルトン・エリクソンの本質を突き詰めたから分かったことがあります。

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「変化・創発ファシリテーション」のオンデマンド、オンサイト講座を開始いたします。

詳細は、こちらから。



(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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