2017年6月15日木曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 166日目


                                                                                                                            
 
 臨床催眠とは何か?

 端的に言うと、

 事実として起こる催眠現象を介して、再方向付けを行う療法だ。


   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 166日目について書いておきたい。

子どものための催眠療法

「Pediatric Hypnotherapy (1958)」から。著者は、ミルトン・エリクソン。

  簡単にいうと、子どものための催眠療法。催眠は当然、認知に働きかける。つまり、大人と同じように子どもに話しても理解されない恐れがある。また、一口に子どもといっても幼稚園児から小学校低学年、高学年、中学生のようなところまで入ってくる、その意味でも認知の発達度合いが違い、同じように扱うわけにはいかない。エリクソンはここでどのように工夫を凝らしているのか? これを今日から読んでいくことになる。

・・・・・・・・・


随考

―― 細かい話よりも大枠の戦略が重要――

Hypnosis in Clinical Practice: Steps for Mastering Hypnotherapy (2005)」をパラパラ読んでみた。本文はp.160 ほどなのですぐ読める。


 著者のリック・ヴォイトもモーリー・ディレイニーもともに博士号持ち、メンターはエリクソニアンのブラント・ゲアリー、両者とも The American Society of Clinical Hypnosis(ASCH) の会員で、フォワードは ASCHの会長(当時)のマーク・オスター、というある意味、臨床催眠としては正統派の著作だ。もちろん、怪しいスピリチュアルのようなことは一切対象とはしていない。

 さて、エリクソンらが設立したASCHは非営利だし、トレーニングの参加に修士以上の要件があるので、Wikipedia のASCHの項目を参照すると、現在でもプラクティショナー認定のトレーニングを受けた人数は米国で750人という感じだ。これを F1ドライバーのように希少と見るか、単にニッチな流派の絶滅危惧種と見るのかは見解が別れるのだろうが、少なくとも ASCHが質を落としてまで会員を広げようとしていないのは確かなことだろう。

 エリクソンの論文は膨大な試行錯誤を行っているところがある。しかし、比較的最近書かれた著作は、既知のことを整理して書かれているところがあるため、かなり読みやすくなっている印象を受ける。

―― 催眠現象はスピードメーター?――

 例えば、治療の見立てとして以下のような表がある。あくまでも一例だ。

鬱的な症状
右に対応した催眠現象
低いモチベーション



やるせなさ



後ろ向きなこと

食欲不振
カタレプシー
解離
感覚消失

時間の拡張
負の幻覚(あっても見えない)
過去退行

正の幻覚(ないものが見える)

解離

 鬱傾向のあるクライアントを普通に催眠誘導すると、何らかの催眠現象が出て来るという具合だ。ここでは、セラピストが特に特別な催眠現象を引き出すことを意図してはいない。あくまでも自然に催眠誘導すると表右の現象が出て来る。

 ただし、ここでシステム論的なことを考えて見る。あくまでも奥には何か全体性を持った「より大きなシステム」が存在しているが、そのシステムの現れとして観察できるのが大きなシステムの「しっぽ」としての催眠現象と考えることもできる。

 さらに続ける、クライアントにユニークなこの催眠現象を見立て、この催眠現象を利用(ユーティライズ)した再方向付けが治療戦略ということになる。全体的なシステムを意識しながらも、「しっぽ」を手がかりに色々介入してみるという具合だ。

 この見立て、治療戦略、介入は臨床催眠ならではのものだろう。要は「しっぽ」としての催眠現象自体をスピードメターや回転計のような手がかりや指標として使うということだ。

催眠現象
治療戦略
カタレプシー



解離



負の幻覚


正の幻覚


時間の拡張


健忘


異常な記憶力

知覚過敏


過去退行




感覚喪失
動作しているイメージ
自律性、効力感、制御感を引き出す
固定化された信念の変更

部分を統合する
統合についてのメタファー
肯定的な自我の強化

新しい「目」で見る
自我の強化

解離をつなげるメタファー
否定的記憶、知覚のやり方の変更

今ココのメタファー
肯定的未来のメタファー

肯定的な関連付け
自我の強化

手放すイメージ

イメージのシールド
否定的影響、感情への対処

今ココに焦点を当てる
再育成
否定的記憶、知覚のやり方の再定義
自己治癒の記憶の増進
未来への方向付け
感情を制御するやり方を身につける

   あまり大きな声では言えないが(エリクソンらが)催眠現象を利用するとは、こういうことだ。再方向付けが終わった後で、再度催眠に誘導し、催眠現象がどのようになっているのか?も確認することができる。

 結局、ある程度の戦略や方針というのはあるが、決まり切ったやり方というのはないがよく分かる。
 
6月15日の進捗、1308ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 49.4%)


Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY

Pediatric Hypnotherapy Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, July, 1958, 1, 25-29.




お知らせ:

ミルトン・エリクソンの本質を突き詰めたから分かったことがあります。

 組織のパラドクスを解消し、組織の認識、行動の変化を支援する、
「変化・創発ファシリテーション」のオンデマンド、オンサイト講座を開始いたします。

詳細は、こちらから。


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


記事の内容の正誤について、執筆者は一切保証いたしません。また、本書の内容、エクソサイズなどを実行した結果被った被害などについて著者は一切責任を負わないこととします。本ニュースレターの内容は、以下クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従うものとします。但し、引用元の著作権は引用元に所属します。ご意見、ご感想は次へ tritune'`@''gmail.com

https://www.facebook.com/Okirakusoken-236949276723679


――

0 件のコメント:

コメントを投稿