2017年6月16日金曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 167日目


                                                                                                                            
 
 よくない行動を変えるのは案外むずかしい。

 もっと大きなシステムの視点でみてこのよくない行動を利用しない限りは・・・


   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 167日目について書いておきたい。

クライアントの行動を利用した肥満の催眠療法

「Utilization of Patient Behavior in the Hypnotherapy of Obesity (1960)」から。著者は、ミルトン・エリクソン。

  いままで色々な取り組みをしても成功しなかった肥満のクライアントの症例が3つ掲載されている。方針としては、もっと大きな視点からクライアントの振る舞いを利用する。

 第一の症例は内科医の妻、食事を長い時間食べることに満足している、従って量を食べる、標準55 kg の体重がいつの間にか倍の109kgへ。そしてエリクソンのもとにやってくる。エリクソンは時間歪曲を使う。クライアントの感覚はいままでと同じ時間食事をしている感覚があるが、物理的な時間は短くなっているので必然的に摂取カロリーは少なくなるという具合だ。これによって無理なく体重が減少していくようになる。

 もちろん、内科医の妻だけあって、別の病気がないか?や食事の内容に偏りはないか、無理にダイエットしていないか?などは夫がチェックする体制になっている。だから、この論文は、「催眠はダイエットに効く」というような単純なメッセージになっているわけではない。

 このような事例があと2つ。
 
 ポイントはクライアント毎の状況に応じて催眠を含め、色々な打ち手が個別に処方されていることだろう。要は、クライアント個別のニーズを満たす療法はあるが、誰にでも当てはまるダイエット方法というのはない、ということだ。

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随考

―― チェンジ・マネジメントについてのあれこれ――

 米国立生物工学情報センター(NCBI)のデータベースに「Managing Change」というチェンジ・マネジメントについて書かれた論文が掲載されており、これが結構面白い。

 チェンジ・マネジメントとは、「組織においての業務などといった様々な事柄を変革するということを推進、加速させ、経営を成功に導くというマネジメントの手法。組織が変革を行うということになったならば、その組織に長年慣れ親しんできた従来の方法に固執し、変革に対して反対をする構成員が多く存在する。そこでチェンジマネジメントでは、経営のトップ自らが変革が行われる組織の構成員に対して、変革が行われることの狙いや必要性を知れ渡らせ、構成員の意識を改革するために努められる。同時に構成員が変化が行われる組織の中でうまく適応できるようにも努められる」とある。

 要は、長年慣れ親しんできた行動を変えるのがいかに難しいか?ということでもある。逆にいうと、この行動を円滑に変えること自体に大きな価値があるということになる。

 論文のサマリーは以下のような感じだ。ここでは医療の現場における情報システムとチェンジマネジメントがテーマだ。

・・・・・・・

 ますます強力な情報システムが設計され、開発され、実行されるにつれて、情報システムは必然的に、より広範囲で、より異種のグループの人々およびより組織的な領域に影響を与えている。

 次に、システムの成功への主要な課題は、技術的なものよりも多くの場合(組織や個人の)行動に関することだ。このようなシステムを複雑な医療機関に導入するには、優れた技術力と優れた組織力を効果的に組み合わせる必要がある。

 システムの心理的オーナーシップが低く、その実装に積極的に抵抗する人々は、逆説的に「技術的に最高の」システムを傍らにおいておくことはできる。しかし、効果的なリーダーシップは、情報科学技術のより迅速で生産性の高い導入を達成するために、新技術を含めて変化する行動に対する抵抗を大幅に減らすことができる。本稿では、情報システムの障害が発生する理由、チェンジ・マネジメントをサポートするコア理論、チェンジマネジメントの実践的応用、情報科学におけるチェンジ・マネジメントの4つの主要分野について検討する。

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 もっとも、この論文でもカリフォルニア州パロアルトにあるMRI(Mental Research Institute)などの「変化の原理」が使われているので、もとをたどればミルトン・エリクソンの知見ということになる。要は、人や組織が変化する原理の背景には何か普遍的な法則めいたことがあるということだろう。もちろん、打ち手はクライアントにあわせてユニークになるのだろうが・・・・

 さて、今日のエリクソンの論文では、ダイエットについて、クライアントの習慣を変えることが取り上げられていたが、これは巡り巡って、会社での業務のやり方を変える、のような話にまでつながってくるということになる。

 プロジェクトのチェンジマネジメントについては、ここで書いた。
 
6月16日の進捗、1316ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 49.7%)


Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY

Utilization of Patient Behavior in the Hypnotherapy of Obesity: Three Case Reports Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, 1960, 3, 112-116.




お知らせ:

ミルトン・エリクソンの本質を突き詰めたから分かったことがあります。

 組織のパラドクスを解消し、組織の認識、行動の変化を支援する、
「変化・創発ファシリテーション」のオンデマンド、オンサイト講座を開始いたします。

詳細は、こちらから。


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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