2017年6月17日土曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 168日目


                                                                                                                            
 
  論文全集、今日で丁度、半分。

  無意識がダラダラ読んでいるだけだから長続きするなぁ(笑)。


   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 168日目について書いておきたい。

受験にともなうパニック症状

「Hypnosis and Examination Panics(1965)」から。著者は、ミルトン・エリクソン。

 弁護士の試験で試験中にパニックを起こすクライアントがいる。エリクソンはこのクライアントを対象にトランス誘導し、暗示を行う。暗示の一つは、何も試験で最高点を取る必要はなく、合格最低点を取ればよい、というもの。
 
 このクライアントはエリクソンのオフィスを出て、それからしばらく経って試験に望む、前日不安になってエリクソンに長距離電話をしてくる。エリクソンは電話先でも催眠を行う。
・・・・・

結果、このクライアントは試験に合格。だいたいこんな話。細かい暗示などは論文に書いてある。


・・・・・・・・・


随考

―― ゆっくり、ゆっくり読む――

 今年のお正月からミルトン・エリクソン論文全集を読んでいる。毎日8ページというのがそのペースだ。もちろん、まとまった時間があれば、200-300ページの本は2、3時間で読むのが普通だ。だから、意図して、かなりゆっくりなペースで読んでいる。

 このペースは、エリクソン派生の心理療法であるMRIの短期療法の介入が「Go Slow!」、つまり、今までの反応を意図的にゆっくりやってみる、に倣っているところがある。個人的にはいつもと違うパターンだが、感覚としては中々よいペースだと思っている。Wikipediaにも Slow Reading という項目があり、これを意識したわけではないが、普段と違うモードで、目的も持たずに、ゆっくり・・・ゆっくり・・・読むというのも面白い経験ではある。

―― 論文全集の進捗が50%に到達――

 168日目の今日は、進捗が50%、つまり丁度、真ん中に到達した格好になった。登山で喩えると丁度五合目まで到達した、という格好になるが、これから頂上に向けて難攻不落の場所がある感じもしないので、この登山のメタファーはあまり実態を表したものではないのかもしれない。別のメタファーで表現すると、草原の道の景色を楽しみながら、ゆっくり・・・ゆっくり・・・・ドライブしている感じになっている。その意味、身体的なメタファーは縦に登るというより、横に広がるという感じにはなっている。

 追記:これについて面白いメタファーを思いついた。草原のある山岳地帯を気球でゆっくり・・・ゆっくり・・・風まかせに移動しているというものだ。時に、地上近くを流れるように滑っていく、時に、高度を上げて地上を見下ろす・・・これは、視点の低さ、高さということだろう。気球だから目前に山が現れても、渓谷が現れてもそれほど気にはならない。どこへ行くのか? それは風だけが知っている・・・そんな感じだ。

―― ソースに当たる重要性――
 
 論文をを読んでみると、面白いこともある。
 
 ネットの時代では、比較的原典が容易に入手できるのでソースを確認して、できれば実際に試してみるのが重要だ、と再確認できるのが良いところだろう。情報リテラシーを向上させるポイントの一つが情報のソースにあたることだからだ。

 さて、エリクソン論文全集はエリクソン自身が執筆している論文も数多くあるが、実際にエリクソンの書いた文章を読むと、エリクソンが人の認知や行動を通して人間をどのように理解していたのか?なんとなく推測できるのも面白いところだ。

―― エリクソンに対する個人的印象 ――

 また、エリクソン自身の性格のようなところも分かってくる。例えば、以下のような印象を受ける。

  • 論理的:エリクソンは、かなり論理的で科学的な思考の持ち主。
  • 全体論的:エリクソンは色々なことを円環的因果で見ているように思われる。クライアントの振る舞いの先にある人間関係まで見て介入している。→後に家族療法として発展する。
  • 忍耐強い:同じテーマを何十年も継続して研究している。
  • セットベース検証:トヨタ式開発ではないが、いくつもの検証を並列で行う。
  • 現実主義:実際に試してみた結果が重要で、理論はそれほど重要ではない。
  • 生活感:クライアントの生活している範囲で理解しやすいメタファーを使う。
  • 人あたり:人あたりがよい。また、案外、中立。
  • 間接的暗示:人のフリ見て我がふり直せ、という感じでつぶやく。メタ・コミュニケーションがうまい。
  • 逆説的介入:時に、症状を増幅させる逆説的介入を行って、現状の不都合なパターンから抜け出る支援を行っている。
  • 未来志向:今ココから未来へ焦点を当てる。

  おおよそ、こんな感じになる。

―― 何か役に立っているのか? ――

 こういう問が一番野暮だ。役に立っていることもあるかもしれないし、役に立っていないかもしれない。あるいは、役に立っていないということ自体が何かの役にたっているかもしれない。無用の用というやつだ。

 おそらく、エリクソンが言いたいのは、目の前の現実をよく観察して普段と違う枠組みの外へ出て、よい意味で、普段とは違う行動をするために、あるいは、よい状態になるために、利用できるものは何でも利用しなさいということだ。ネットに転がっていた「Further Clinical Techniques of Hypnosis: Utilization Techniques」という論文を読んで思うことでもある。
  
6月17日の進捗、1324ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 50.0%)


Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY

Hypnosis and Examination Panics
Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, 1965, 7, 356-358.




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(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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