2017年6月2日金曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 153日目


                                                                                                                            
 
   ペンタトニック・スケールがトランス状態を誘発するという研究がある。

 なにか神聖なものにつながりやすくするための音階ということなのだろう。

 面白い研究である。

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 153日目について書いておきたい。


催眠の一般的な適用

「Hypnosis in General Practice (1957) 」から。著者はミルトン・エリクソン。

―― 催眠の医療分野への応用 ――

  医療において催眠が広範囲に役立つことが主張されている。例えば、手術前の患者の不安を和らげることができる、かゆみを訴える患者のかゆみを和らげることができる、リウマチ患者の痛みを和らげることができる、アルコール依存症の患者のアルコールへの渇望を和らげることができる、など様々なところで応用される、という具合だ。

  余談だが、 現在、臨床催眠が適応されている範囲はここで書いた。

 この論文が発表された時期は、エリクソンが56歳くらいの時だ。51歳の時に再発した小児麻痺を乗り越え、ある程度の名声を獲得し、油の乗り切った時期であるのは間違いない。本来、魔術の延長という具合に考えられていた催眠を臨床の現場で、ある程度の科学的再現性を持って使えるようにした功績は大きいように思えてくる。

催眠:治療方法としてのルネサンス

「Hypnosis: Its Renascence as a Treatment Modality Milton H. Erickson Reprinted in The American Journal of Clinical Hypnosis (1970)」から。著者はミルトン・エリクソン。

―― ルネッサンスの意味 ――

 本論文を途中まで読んだ。まず、面白いと思ったのはタイトルに「ルネッサンス」という文字が入っていることだ。確かに、「催眠」というのは人類の歴史と同じくらい古いと言われている。しかし、「催眠」はどことなく神秘的、魔術的で、なにやら怪しい雰囲気を醸し出しているのも確かだ。それで、エリクソンが「ルネッサンス」とつけた想いは、こういった太古の昔からある「催眠」の文芸復興をしました、ということなのだろう。

 エリクソンの功績は、「催眠」に科学的な視点を持ち込み、再現性をもって怪しくない方法で使えるようにしたということだ。

―― 米国催眠学会設立から13年の後――

 もう一つは、現在、臨床催眠の学会誌としては有名な「The American Journal of Clinical Hypnosis」についてだ。エリクソンらが1957年に設立した臨床催眠の学会である「The American Society of Clinical Hypnosis」の学術誌で、現在だとあるのが当たり前のような認識になっている。しかし、こういった団体にも発起人や創設者がおり、エリクソンたちは自分たちの研究を発表できる場所自体、自分たちでつくったということだ。この論文が発表されたのが、設立から13年ほど経った1970年だが、学会も軌道にのった非常に良い時期ということなのだろう。

 この時期から1980年にエリクソンが亡くなるまでの10年間は、自宅兼診療所でワークショップを開き、多くの人財を育てた10年間に入っていく。


随考

 ―― ペンタトニック・スケールでトランス状態に入る? ――

    何かの論文で読んだ記憶があるが、同様の内容が Youtubeにアップロードされていた。それは、ペンタトニック・スケール(五音音階)を聞く、あるいは演奏するとトランス状態が誘発されるという内容だ。そして、無意識につながり、直感が働くようになる。


  これからすると、各地の民族音楽やブルースにもJazzブルースにもペンタトニック・スケールが使われている理由が分かってくる。おそらく、神聖な何かにつながるためだ。

 例えば、日本では太古の昔から雅楽を聞いてトランス状態に入り、民謡を歌ってトランス状態に入り、盆踊りを踊ってはトランス状態に入っては、何かにつながっていたということなのだろう。アドラーの言う「共同体意識」のようなことを育むためも何らか役立っていたのかもしれない。

―― 二分心と関係している気がする――

 こういったことを書くとジュリアン・ジェインズ著『神々の沈黙-意識の誕生と文明の興亡に書いてあった「二分心」という概念を思い出す。実はこの本は、カリフォルニア州サンタクルーズのダウンタウンの古本屋を散策していた時、ベイトソンの教え子だという初老のご婦人から勧められた著作だ。

 出版社は、イェール大学出版で随分分厚かったので自分に読むのは難しいのではないかと思っていた。しかし、読んで見ると中々面白かった記憶がある。本書は、賛否両論を巻き起こした著作で「二分心」という概念も仮説であり検証は難しいが、かなりインパクトのある仮説ではあったように思う。

―― 催眠技法だけがトランス状態に入るための手段ではない ――

  これからすると、無意識とつながることを志向したミルトン・エリクソンの催眠技法のような方法だけがトランスに入る手段でもないことが分かってくる。エリクソンが言う、「自然主義的なトランス状態」は、日常だれもが経験することであって、別に催眠誘導だけによって発生するものではない、ということが裏付けられた格好だ。

 逆に言うと、トランスに入るだけだったらブルースでも Jazz ブルースを聞くなり、演奏するなりすればよいのかもしれない。確かにセッションで「Fのブルース:Blues in F」を延々やっているとメンバーも聴衆も何らかのトランス状態に入るのを経験したことはある。

 もちろん、ブルースなり Jazz ブルースの歌詞に間接暗示なり、後催眠暗示を含めておけば、エリクソンと同じような効果が得られるような気がしないでもない。おそらく、米国の南部からアフリカ系アメリカ人によってはじまったと言われるブルースを例に取れば、日々の辛い労働を嘆きながらも、自分の無意識の奥底にある魂につながり、日々生活する資源・資質(リソース)を活性化するために歌うのだろうから。


 このブルースを歌う時、ペンタトニック・スケールがどのようにトランス状態を誘発しているのか?と考えると、かなり興味深いテーマであるのは間違いない。
 
6月2日の進捗、1204ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 45.5%)

Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY

Hypnosis in General Practice
Milton H Erickson Reprinted from State of Mind, 1957, 1

Hypnosis: Its Renascence as a Treatment Modality

Milton H. Erickson Reprinted in The American Journal of Clinical Hypnosis, 1970, 13, 71-89, with permission of the original publishers: Merck Sharp & Dohme,Trends in Psychiatry, 1966, 3(3), 3-43.





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(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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