2017年6月21日水曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 172日目


                                                                                                                            
 
  さて、

  クライアントが望む方向への支援をするとして、

  どのようにパラドクス介入をしたものかなぁ〜(笑)。

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 172日目について書いておきたい。

産科における催眠の活用

「Use of Symptoms as an Integral Part of Hypnotherapy (1965)」から。著者は、ミルトン・エリクソン。実際には出版されなかった原稿。

 簡単にいうと、産科に催眠をどのように活かすのか?この論考を行っているのがこの原稿となる。エリクソンはこれを書きながら以下の問を立てる。

  1. .どのような時、あるいはいつ、産科で催眠を使うのか?
  2.  誰が催眠治療を受けることができるのか?
  3.  危険があるとすれば、それは何か?
  4.  催眠を使用した事例の種類にはどのようなものがあるか?
  5. 具体的にどうやったのから?
  6.  催眠療法の知識はどこで得られるのか?
  7.  具体的には、一般的、あるいは個々の事例で催眠で何が達成されるのか?
  8.  最後に、他にも多くの方法がある場合、催眠術を使用する理由は何か?
・・・・・・
 上とは対応していないが、この回答はおおよそ、以下のようなものになる。


  1. クライアントに、身体的なリラクゼーション、肉体的な感覚や変化の漸進的な変化、妊娠に望ましいような快適さと幸福感を教えることができる。
  2. 体重の変化、吐き気と嘔吐、恐怖や不安状態ははるかに適切に処理される。
  3.  医師とその能力に対する信頼と信頼を高めつつ、協力と理解の態度を発展させることができる。 
  4. クライアントに、実際の学習能力、麻酔または鎮痛、または記憶の不快感に対する記憶喪失に応じて教えることができ、したがって、クライアントが分娩室に入り、十分なレベルの意識で本当に楽しく、実際の出産の経験に産科できる。
  5.  産後期間中のクライアントの行動を、睡眠、身体的快適、不安からの自由、身体的快適性および幸福感の促進に向けられる。 
  6. クライアントの乳房の振る舞いと、これに関する彼女の態度や不安は、より適切に扱うことができる。
・・・・・・・・ 

 個人的には医師ではないので、単に論文を読んでいるという立場だ。当然、特定の治療法を推奨するものではない。


随考

――パラドクス介入を使う ――

 ネットに「The use of the paradox technique in family therapy with Iranian families: case report 」というタイトルの論文が落ちていたので読んでみた。

 読む理由は色々ある。心理療法家のミルトン・エリクソンはクライアントに催眠誘導を行う(ことが多い)。これは事実だ。しかし、当然なら催眠誘導をしただけで認識の枠組みや行動に対する変化は期待できない。これだけだと単に催眠から覚めたら、少しは気分が良くなっているのかもしれないが、大きな変化は起こらない。

 ここで疑問が沸き起こる。エリクソンは3つの点で一体何をしていたのか?

  • クライアントの何をどのように見立てていたのか?
  • クライアントの認識の枠組みや行動をどのように見ていたのか?
  • 具体的にクライアントの何にどのように介入していたのか?
 
 上の論文はエリクソンそのものではないが、エリクソン→MRI→ミラノ派家族療法と派生していることを考えれば、何かのヒントにはなるだろう、ということだ。細かい違いは、ここで紹介したアラン・カーの家族療法の本に書いてある。(例えば、MRIはどちらかというと行動介入で、ミラノ派は認識への介入だとか・・・)で、MRIとミラノ派は催眠は使わないが、個人的には、この3つの心理療法に共通することは、パラドクス介入だ、と考えている。

・・・・・・・・

 それで本文のサマリー、

 目的:この研究は、家族療法におけるパラドックスの効果を評価した。治療ツールとしてのパラドックスは、多くのセラピスト、特にパラツォーリら(ミラノ派)によって探究されてきた。(ミラノ派は、二者間(dyadic )や三者間(triadic )の円環的質問を使い、催眠導入は行わない。)

 事例: 2人の女性顧客がこの研究のために選ばれた。どちらの女性も家族の中でうつ病の症状を呈した唯一の人物で、2年間以上投薬を受けていた。

 結果:セラピストはミラノ派システムズ・アプローチを家族療法に使用し、両家族は16回のセラピーセッションに参加した。彼らは2年間追跡調査された。すべての家族は、10回目の治療が終わった後に、家族評価デバイス(FAD)とBeck Depression Inventory(BDI)アンケートに治療前に記入した、これから3ヶ月後に治療が完了した。パラドックス介入は満足のいく結果を示した。それは症候的な行動を減少させ、家族全体のシステム全体に影響を与えた。家族制度はより実用的かつ機能的になった。 2年後の症例1はうまく機能し、被験者の一人である女性は結婚した。症例2は治療後に投薬を中止し、高校を修了して大学に入学した。

 結論:パラドックス介入は家族療法の強力なツールだ。それは長期的な病気に対する創造的で決定的な解決策となり得る。しかし、注意が払われなければならず、それは他の技術が失敗した家族療法の過程の最後の選択肢でなければならない。

・・・・・

 本文には具体的にどのようなパラドクス介入を行ったのか?が書いてあるが、ここでは書かない。

 もっとも、個人的に面白いなと思うのは、イランのおそらくイスラム教シーア派を信仰する家族なのだろうが、ミラノ派家族療法がこういった文化的な違いにも対応している点だ。反対の言い方をすると、結局、認識の枠組みや行動に働きかけるので、宗教としてキリスト教でも、イスラム教でも、仏教でも、結局、信仰とは異なるところに働きかけているということなのだろう。

 余談だが、個人的には臨床心理士でも医師でもないので何らか病気の治療に使うわけではないが、仕事の場面での、組織のチェンジ・マネジメントやファシリテーションの技法として変化を導く技法としてミラノ派の知見はおおいに活用させてもらっているところではある。当然、パラドクス介入、あるいはカウンター・パラドクス介入を伴っているけれど・・・・・このあたりの話は、ここで書いた、組織開発のような話になってくる。
 
6月21日の進捗、1356ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 51.2%)


Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY

Hypnosis in Obstetrics: Utilizing Experiential Learnings Milton H. Erickson Unpublished manuscript, circa 1950s.



お知らせ:

ミルトン・エリクソンの本質を突き詰めたから分かったことがあります。

 組織のパラドクスを解消し、組織の認識、行動の変化を支援する、
「変化・創発ファシリテーション」のオンデマンド、オンサイト講座を開始いたします。

詳細は、こちらから。


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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