2017年7月12日水曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 193日目


                                                                                                                            
 
  ゴール設定は、メタ認知による認知的不協和なり自己成就予言を

  うまく使う必要があるなぁ(笑)。

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 193日目について書いておきたい。

時間の擬似的方向付けを伴った新しい枠組みと客観的思考へのファシリテーション

「Facilitating Objective Thinking and New Frames of Reference with Pseudo-Orientation in Time(1940)」著者はミルトン・エリクソン。実際には発表されなかった原稿。

 この原稿も中々面白い。まず、テーマは「客観的な思考とは何か?」ということだ。

 これは、冷静に事実を観察するという視点と思考だ。その状況を第三者的に客観的に冷めた目で見ることができる。悪い言い方をすると「他人事」という視点でもある。コンサルタントなどが、どのような状況にあっても問題を調査したり解決にあたって持っておかなければいけない思考や視点だ。例えば、極端な話、仮に特定の人間から嫌がらせや抵抗に合っても。この場合も第三者的な客観性を失ってはいけない、ということだ。

 逆に「主観的な視点を取るとどうなるのか?」ということでもある。

 それは、その状況に対して極度に主観的で、感情的になることがある、ということだろう。何らかの認知バイアスに陥る。こうなると事実が何かと冷静に観察しているどころではない。おそらく冷静に対処できていれば問題にならない問題に陥る。

 それで、まずは「冷静になって客観的に物事を見てみましょう」、というのがここでのテーマだ。もちろん、問題は自分のこととして考え、自分が行動することによって解決する。しかし、あまり主観的かつ感情的になると、贔屓の引き倒しで、問題をシステミックに解決することが難しくなるという具合だ。

 また、大きな問題もある。本当はこれが一番厄介だ。ここでのクライアントはある状況になると無意識にその感情が沸き起こり、自分では冷静なつもりでも、客観的からはどんどん離れていく、ということだ。無意識にそうなるのだからクライアント自身がコントロールするのが難しい。

 では、どうしたらよいのか?

 エリクソンは時間的方向付けをともなったトランス誘導を使うということだ。それで、この技法の要旨は以下だ。



 The actual procedure is rather simple. Upon inducing a medium or deep trance, suggestions are offered to effect a dissociation from the immediate environment and then to emphasize the unimportance of the identity of the day of the week and then of the month, culminating in an amnesia for time, place, and situation, but with an awareness of the general identity of the self. 

 実際の手順はかなり単純だ。中程度から深いトランス状態に誘導されると、暗示は現行の環境からの解離を達成するために提供され、その後、その週やその月の特定の日のアイディンティティがまったく重要ではないことが強調され、(今いる)時間、場所の記憶喪失で最高潮に達する、しかし、自己の一般的なアイデンティティの意識は持っている。


 乖離は、簡単にいうと普段その場面で沸き起こる感覚や感情が一旦切り離されるということだ。あるいは、メタ認知が促進される。これで、一旦、未来のある時点でその問題が解決したと想像される状態から現状を眺めてみるというようなことを行う。要は、プロジェクト・マネジメントでいうゴールから現状まで計画するリバース・スケジューリングのようなことをやってもらっているという具合だ。これで、現状の問題も将来のリソースとして見ることができるようになる。

 余談だが、昔、北野武氏の著作(名前は忘れた)を読んで面白いことが書かれていた。それは、氏がポルシェを購入できる身分になって実際に自分でハンドルを握ってポルシェを運転していたが、どうもオーナーになった気分がしない。そこで、たけし軍団の弟子に自分のポルシェを運転させて、自分はタクシーに乗ってそのポルシェを追いかけてみたところポルシェのオーナーになった実感が湧いてきた、というくだりがある。

 これは、コーチングのゴール設定に関しての重要すぎるほどの示唆だ。実際のゴール設定はゴールが達成された時の状況の臨場感は高めないといけない。ただし、例えば、表彰台に登っている自分の姿を舞台後ろから眺めて「羨ましい」というような感覚でゴールの場面を思い浮かべる必要がある。理由は、表彰台に登っている自分を自分の視点で描いて嬉しいという気持ちに浸ると、実際のゴールではなく、その妄想自体に満足してしまうからだ。だから心の底からそのゴールを達成したいということになり難い。つまり、ゴール設定はある意味乖離して自分がゴールを達成している状態をメタ認知した状態で客観的に設定するのがポイントでもある。上の例では北野武氏はおそらく生まれついてそういうことが出来ているということだ。あまり大きな声では言えないが、これがわからないと自己啓発やコーチングの本を何万冊読んでも意味はない。大した結果も出ない。誇張ではなく、今日のブログの記事は四桁万円くらい価値はあるだろう、理解できてできればという話にはなるが。

  エリクソンの場合は、コーチングのゴール設定ではなく、心理療法的なゴール設定だが、エリクソンはこれを非常に巧みにやっている。これは、論文を一本よんで実際にやってみれば分かる話だ。ここでは乖離状態で未来のゴールに移動したトランス状態を使う。もちろん、トランスは何か妄想を広げるのではなく、心を落ち着けて、メタ認知を促すような形式で使うという具合だ。中々示唆深い話だ。
 
随考

 ―― 海が濁っていた――

   昨日、豊洲の海が赤土を撒いたような状態で濁っていた。

 観察しながら、色々、仮説を立ててみた。隅田川上流で工事をやっている、隅田川上流で土砂崩れが起こって海が濁っている、海に違法なゴミが捨てられた、赤潮が発生している・・・・・・

 普段とはあまりにも違うので少し観察してみた。魚の死骸は浮いてはいなかった。普段は1m程度の透明度はあるのだが、海の中はまったく見えない。普段は小魚やクラゲが泳いでいる様子が見えるのだが。幸い匂いはそれほどない。

 隅田川のほうを観察してみた。海の濁りとは違う、普段通りの色だ。海のような濁りはない。この濁りは海だけで起こっていることだ。そう考えると上流から流れてきているとは考えにくい。おそらく赤潮だという具合に思い始める。水を汲んで顕微鏡で観察するような手段は今は持っていない。調べる手段は何があるのかを考える・・・・

 結局、ネットにアクセスしてみると、東京湾で赤潮が発生しているというニュースがあった。

 普段、ニュースはネットから始まることが多いが、自分の観察した仮説をニュースで確認するというのも面白いと言えば面白い。もちろん、赤潮による漁業被害が出ていないことを祈るが。

 
7月12日の進捗、1522ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 57.5%)


Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY

Facilitating Objective Thinking and New Frames of Reference with Pseudo-Orientation in Time Milton H. Erickson Unpublished manuscript, circa 1940s.



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ミルトン・エリクソンの本質を突き詰めたから分かったことがあります。

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詳細は、こちらから。


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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