2017年7月14日金曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 195日目


                                                                                                                            
 
  脳科学といって、心を物質に還元しているアホがいるのだが、

  これもある意味要素還元主義から抜け出せていない証拠だなぁ。

  心は、ドーパミンやエンドルフィンと同等ではないから(笑)。

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 195日目について書いておきたい。

意識にのぼらない形式で無意識の思考の再構成を支援する

「Reorganization of Unconscious Thinking without Conscious Awareness:Two Cases with Intellectualized Resistance against Hypnosis (1956)」著者はミルトン・エリクソン。発表されなかった現行。

 ここでのポイントは、意識の抵抗をどのように回避するか。そして問題を起こしている無意識のパターンをどのように再構成するか。これが課題だ。

 ここで2人のクライアントが登場するが、何れも知的水準が高い。つまり、1950年に「催眠」と言われた場合に、論理的に、そんなもので治れば誰も苦労しないのだが、と非常に論理的に考えているクライアントの事例が2つここで登場する。一例目は呼吸器の慢性疾患を抱えているにも関わらず1日3箱から4箱の喫煙が止められないクライアント。これは無意識の習慣であり、本人が意識して努力してもなんともならない。また、催眠なんてどうせ失敗するだろうと考えている。エリクソンはここにトルゥーイズムを使ってトランス誘導を行う。・・・・

 二例目は、内科医のクライアントの例、長距離電話をかけてエリクソンとアポをとり、エリクソンのオフィスにやってくる。15分物語を話、15分権威的アプローチでトランス誘導し、後催眠暗示でこれが15分つづくと暗示。当初は何もなかったがエリクソンが少し席を外してオフィスに戻ってくると内科医はトランスに落ちていた・・・・・・

・・・・・

 おおよそこんな感じの話。
 
随考

 ―― 要素還元主義 対 全体論――

 SlideShareにアップロードされたスライドを読んでみた。最初は「Reductionism vs. Holism (要素還元主義 対 全体論)」というタイトルのスライド。中々興味深い。

 「分けたら分かる」式のロジックで物事を細分化し、それを再度組み立てなおせば全体が分かると考える。これが要素還元主義の見方だ。ある意味、デカルトの世界観。もちろん、対象が自然科学で無生物の場合はそういったことが成り立つ。例えば、機械を分解して機構を理解し、また組み立てる。これで理解は深まる。

 しかし、社会科学で生き物が対象の場合は、「分けたら分かる」式のロジックが通用しない。例えば、生きた魚を分解して再度組み立てるというわけにはいかない。生命が失われる。また、問題の責任追及のようなことばかりやっていてもシステム全体に起因する問題は解決しない。モチベーションも下がる。何れにしても、生き物を扱うのは面倒臭いということだ。生き物は状況にも適応する。
 
 そのため、要素還元主義ではない見方や方法が必要になる。これが、全体論だ。ある意味、ベイトソンの世界観。物事を全体的に見る。社会科学的なことで生き物を対象としている場合はこちらのほうを適用する必要がある。全体論は、ミルトン・エリクソンの論文を読むための視点というばかりではない。会社組織から家族に至るまで組織の局所最適化に起因する問題を解決するための視点でもある。組織のマネジメントから家族療法、全体論を指向したコーチングなどで有効だ。

 最初に、全体論は、第二次サイバネティクスの考え方で観察者もそのシステム(系)に含むというところから始まる。また全体論は、❶意味と目的、❷ 記述と理解、に焦点を当てるのがポイントだ。これは、要素還元主義が、❶直線的因果関係、❷説明と(直線的因果にもどつく)予測、に焦点を当ててるのとは対照的だ。これは、グレゴリー・ベイトソン風の第二次サイバネティクスが理解出来ていれば、まったく難しいことではないだろう。全体論は円環的因果関係で見るということでもある。以下のスライドを読んでみる。


―― システム思考の発展型の複雑系思考 ――

 組織のマネジメントを考える。状況や組織の複雑化を単純に見るのも一つの手だ。要は抽象化して見る。しかし、実態はそこまで単純ではない。だから複雑系としてみる。つまり、1)初期条件に敏感(パタフライ効果)2)予測不可能、3)フラクタル構造、4)自己組織化、5)カオスの縁(創発)、6)適応、という特徴を見る。面白いところだ。

 それを考慮に入れた上で行うのがシステム思考の発展版の複雑系思考ということになる。より実態に併せた組織マネジメントの話だ。家族療法やチームコーチングでも同じ枠組みで考えることができる。

 ここで組織を取り巻くシステムの観察者は当然システム(系)の中に含まれる。この系に影響を与えるためにはその系の持つ多様性よりより多様度を持つ必要がある(最小多様度の法則)。つまり、何か一つの枠組やモデルを使って、単一の視点から観察すればよいということにはならないということになる。余談だが、開放系である複雑系と閉鎖系であるオートポイエーシスの関係は保留しておきたい。


    もちろん、このスライドだけ見ても実際の組織のマネジメントや個人間のコミュニケーションにおいて何をどうすればよいのか?ということを考え途方に暮れるのかもしれない。20年ほど前、複雑系のブームが訪れたが、日常や仕事にこの考え方を取り入れるのは難しいところがあった。

 個人的には、このスライドのことを頭の片隅において、心理療法の技法、具体的にはエリクソニアン・アプローチなり、MRIなりミラノ派家族療法なりを使って組織のファシリテーションを行うなり、コーチングを行えばよいと考えている。もともと、これらの心理療法の根底にはデカルトの世界観からベイトソンの世界観への転換があった。要は、複雑系思考と近似の世界観だ。これで、複雑系の考え方が日常や仕事の場面で誰もが普通に使えるようになった、というだけのことなのかもしれないが。

 
7月14日の進捗、1538ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 58.1%)


Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY

Reorganization of Unconscious Thinking without ConsciousAwareness:Two Cases with Intellectualized Resistance against Hypnosis Milton H. Erickson Unpublished manuscript, 1956.




お知らせ:

ミルトン・エリクソンの本質を突き詰めたから分かったことがあります。

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詳細は、こちらから。


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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