2017年7月19日水曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 200日目


                                                                                                                            
 
  質は量ではない。

  量は質でもない(笑)。

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 200日目について書いておきたい。 
 
ショックと驚きが新しいセルフイメージを促進する

 「Shock and Surprise Facilitating a New Self-Image (1939s)」著者はミルトン・エリクソン。出版されなかった原稿。

    この論文もエリクソンの考え方が分かって面白い論文だ。

 エリクソンは、心理療法の目的を「可能な限り患者が合理的な個人的目標を有利に達成できるようにすることである」と述べている。それで、心理療法の理論をクライアントに当てはめることでもなく、その反対にうまく機能したことを理論化することでもない、と。ただし、ここで心理療法を合理的にすすめる必要がある。さて、どうしたものか?ということだ。

 ここでは、心理療法の理論から外れる将来ユーティライゼーションと呼ばれる技法を使った形式心理療法が行われる様子が描かれている。

・・・・・・・

 
 
随考

 ―― 大河ドラマの大きな流れを読む  ――

   エリクソン全集を読み始めて200日が経った。進捗は全2648ページの約60%まで進んだところだ。もちろん、進捗と理解度に相関関係はないのだろうし、単にたくさんの量を読めばよいというものでもないだろう。

 比喩で言うと、昔のお役所向けのコンサルティングの成果は資料の厚さで測られているようなところがあった。例えば、100万円の仕事なら1cm の報告書は出してもらわないと困るという具合だ(笑)。本当は、価値が分かる人が判断できれば数ページの報告書で問題ないのだろうが、「見てくれが価値をつくる」のようなところがあって価値の判断できない人には「価値=量の見える化」で示さなければいけないようなところがある。

 それを逆に考えると、他人に伝えたいことで、エリクソン全集の中身で特に重要な一言二言で語られる価値は何か?と考えてみるのも面白いことだ。要は、エレベーター・ピッチで要約されたミルトン・エリクソンということだ。

 これについていくつかはすぐ思い浮かぶ。

 まず、エリクソンは魔術師のように語られることもあるが、実は非常に論理的で実証主義な人だ。とにかく現場での実証を大事にする。本田宗一郎氏ではないが、「やってみもせんで、何がわかる」という人だ。とにかくパラメーターを変えて色々試してしてみこれにつきる。そして、その結果がどうだったのか?よく観察する。これを繰り返すという具合だ。ただし、エリクソンの場合は経験と勘と無意識のヒラメキで、クライアントに効果的な方法を少ない回数の試行錯誤で確実に適用しているところがある。また、単純に現象のモグラ叩きではなく、システム思考で、問題を解消可能なレバレッジ・ポイントに働きかけているところがある。ただここには「無知の知」のアプローチが生かされているところがある。

 また、変なスピリチュアルなものとも無縁の人だ。クライアントが「私はキリストだ」と言ってもドヤ顔で大工道具を渡すような人だ。前世のようなものも論文にはまったく出てくるわけがない。仮にクライアントを催眠誘導してそういったイメージが出てきても、エリクソンなら「今ココ」で起こっていることに注意を向けろ、と後催眠暗示を行うことになるだろう。エリクソンは普通の退行催眠を使う場面になっても、クライアントを退行させてリフレーミングを行った後、覚醒する前にそのことを忘れるように健忘の暗示を行うことが多い。結局、昔の経験に恐怖してもいけないし、昔は良かったと回顧しすぎてもいけないというわけだ。要は、今何が起こっていて、それで未来へ向けて何をしたいのか?ここに意識を向ける必要がある。

 そして、それより面白いのはエリクソンが暗に精神分析をディスっているところがが結構出てくる。2年も3年も精神分析をやって一体その間に何をやっていたのだ?という具合だ。初期論文では、エリクソンが多少自由連想法を使っているところが出て来るが、それ以外は精神分析的なことは行っていない。

 色々書き始めるとキリがないのだが、やはり一度は原典に当たってみるのは重要なことだ。

 原典にあたることでエリクソンの技法の範囲が理解できてくる。大まかな流れは以下だ。

・当初駆け出しの臨床催眠の標準的アプローチを使っているところ。
・だんたんと臨床催眠のコラボレイティブ・アプローチを使ってエリクソンらしくなっていくところ。

 このマクロのスタイルの変遷が分かってくるのがエリクソン全集の醍醐味だ。ただし、論文は個別の事例に対するエピソードが中心となっている。裏を返すとウィスコンシン大学時代の催眠実験を除いて統計的な検証はほとんど行われていないし、メタ分析も実施されていない。その意味、学術的な効果検証という意味では少し根拠として弱いところはあるだろう。これは研究室にこもって実験ばかりしていたわけではないので致し方ないところだろう。

 ただし、クライアントの話をよく聞く。家族など周りの人からの情報も手に入れる。クライアントのゴールを引き出す。そのゴールが達成できるように支援する。こういった感じになる。その意味ではコーチングのようなスタイルでクライアントを支援している。

 さて、Youtubeにエリクソンの講演の内容がアップロードされていたので聞いてみた。内容は、「Creative Choice in Hypnosis: The Seminars, Workshops and Lectures of Milton H. Erickson」のカセットテープの片面の内容。 The Seminars , Workshop and Lecture of Milton H. Erickson は4冊あり、1冊だけは邦訳されている。Creative Choice in Hypnosis はシリーズ4冊目の著作でで未邦訳の著作の内容となる。
 




 そのようなわけで先はまだまだつづく。
 
7月19日の進捗、1576ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 59.6%)


Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY

Shock and Surprise Facilitating a New Self-Image Milton H. Erickson Unpublished manuscript, circa 1930s.



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ミルトン・エリクソンの本質を突き詰めたから分かったことがあります。

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詳細は、こちらから。


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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