2017年7月23日日曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 204日目


                                                                                                                            
 
  木を見て森も見るには、

  どうしたらよいのだろう?(笑)。

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 204日目について書いておきたい。 
 
催眠による感情が修正された経験

 「The Hypnotic Corrective Emotional Experience(1965)」著者はミルトン・エリクソン。

    エリクソンが医学会でデモンストレーションなしの催眠についての一般的な講義をするように求められた。予期せぬ、催眠による感情が修正された経験は、そこで起こった。それは少し異常な感じだった。

 出席者の中に7人の医師のグループが混じっていた。その中には心理学的に訓練された精神科医がおり、講堂のすみに座っていた。彼らは催眠については不要だと考えていたし、著者を招くことにも反対していた。また、聴衆の中には催眠療法を見たことも、経験したこともない医師も混じっていた。主催者の判断で、デモンストレーションもやって欲しいということになった。

 ただし、ボランティアの被験者になってもよいという人は誰もいなかった。結局、ランダムに指名され、その精神科医が渋々とステージにあがってきた。

 というような出だしで始まる。要は、抵抗を示したり、敵対的で怒りや不快を表しているクライアントをどのように扱ったのか?という話になる。

 内容は非常に興味深い。

・・・・・・・・・・・
 この後の論文は、ミルトン・エリクソンとアーネスト・ロッシの「Hypnotic Realities 」、邦訳がある「催眠の現実」。英語も何回か読んでいるので、ここからしばらくは下り坂を自転車で下るような楽な展開が予想される。もちろん、この著作は何度読んでもよい著作なので何か今まで気づいていないことに気づくような工夫をして行間を読むことが必要だ。

 
随考

 ―― エリクソン派生の諸流派と結ばれあうパターン ――

   「木を見て森を見ず」というのがある。これは、ミルトン・エリクソンにも当てはまる。木であるエリクソンだけを見ると、森が見えなくなる。

 では森をどのように見るのか?

   それは、ミルトン・エリクソン派生の心理療法の「つながり」を見ることだ。「つながり」とは、ベイトソンの言った、「結ばれあうパターン( A pattern that connects)」だ。周縁から相対的に中心に位置するだろうエリクソンを見ると、エリクソンがより浮かび上がるということが起こる。つまり、「木も見て森も見る」ことができる。これは面白い発見だ。

 エリクソン財団がまとめた派生の心理療法は以下のようになる。細かいところで異論反論もあるだろうが、大まかな「つながり」を見る分には非常に有効だ。
 

 エリクソンは自身の心理療法の体系を残さなかった。つまり、エリクソンの技法はどうにでも解釈できる。また、独自技法の開発を推奨した。これはこのあたりの映像で確認できる。だから、エリクソンの周縁には派生の流派がシリコンバレーのベンチャー企業のように、良い意味でも悪い意味でも、有象無象に登場する。もちろん、流派の生き残りのためには多様性は有効だろう、アシュビーの「最小多様度の法則」が示していることだ。ちなみに派生とは、エリクソンと何らかの「つながり」を持っていることを意味する。

 また、この「つながり」は、複雑系的には塊として成長していて、周縁からボトムアップで創発が起こっているのがこの流派の面白いところだろう。時々キラリと光る流派が何の前触れもなしにこの「つながり」の中から出て来る。複雑系的な理屈はこのあたりで書いた。

 さて、諸流派について、おおまかに言うと、エリクソンの暗黙知を暗黙知として学ぼうと考えるエリクソニアンと、エリクソンの暗黙知を形式知化した学派に別れる。ある意味、前者が無意識、後者が意識のような関係になる。もちろん、相互作用して二重らせんで発展しているところがあるので単純に分ければよいというものでもない。

 それで、前者を代表するのが、エリクソニアンやネオ・エリクソニアン。後者を代表するのが、MRI、戦略的家族療法、ミラノ派家族療法などということになるだろう。後者はエリクソンの技法を第二次サイバネティクスをくぐらせて取り出している形式になっていて、催眠は使わず、基本対話で行うので学びやすいし使いやすい。また、日常や仕事の場面でも、人や組織のゴール達成や変化を支援する場合に使いやすい。例えば、PMIのチェンジ・マネジメントはMRIベースになっている。

 前置きが長くなったが、映像を見てみる。ここでシステミック療法と書かれているが、これは、状況、文脈、心、体、人と人など「つながり」を重視する学派だということだ。

 最初がMRIとミラノ派家族療法について、



   つぎが戦略的家族療法となる

 エリクソンの論文全集を読むと、エリクソンと派生の諸学派の「つながり」が見えてきて面白い。最初に戻るが、「木を見て森を見る」というのは、この「つながり」をどのように見るかにかかっているように思ってくる。こうすることで全体がおぼろげながら浮かび上がってくる。

余談だが、Youtubeにこれだけの濃い内容の映像をあげておくのも案外マーケティング上の手だ。うっかりこの人の著作を購入してしまった(笑)。非常によい本だ。


7月23日の進捗、1608ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 60.7%)


Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY


The Hypnotic Corrective Emotional Experience Milton H. Erickson Reprinted with permission from The American Journal of Clinical Hypnosis, January, 1965, 7, 242-248.


お知らせ:

ミルトン・エリクソンの本質を突き詰めたから分かったことがあります。

 組織のパラドクスを解消し、組織の認識、行動の変化を支援する、
「変化・創発ファシリテーション」のオンデマンド、オンサイト講座を開始いたします。

詳細は、こちらから。


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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