2017年7月27日木曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 208日目


                                                                                                                            
 
  エリクソンのアプローチって即興演奏ありのJazzのようなものだから

  終わってみないと名演奏かどうかは分からないのだよなぁ(笑)。

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 208日目について書いておきたい。 
 
催眠の現実

 「Hypnotic Realities The Induction of Clinical Hypnosis and Forms of Indirect Suggestion(1976)」著者はミルトン・エリクソンとアーネスト・ロッシ+シーラ・ロッシ。

    ミルトン・エリクソン論文全集の第四巻を読んでいる。そこに含まれていて、今回からの範囲に収録されているのは、「Hypnotic Realities : 催眠の現実」だ。個人的には英語で何度か読んでいる。また、書店でぱらぱらとしか確認していないが邦訳が出ている。

 そのため、ここの部分の読み方についてはルール変更して興味深いと思ったメモだけ記載しておくことにしたい。

・・・・・・・・・・・
 今日は以下の内容。会話形式で書かれているので、エリクソンの初期の学術論文より楽に読んでいる。もちろん、会話は平易だが行間は深いと感じている。

 今日の範囲に臨床催眠の意識ー無意識というのが出て来る。これについて、個人的にはベイトソンの「Theory of Mind」もしくは、UCバークレーのゆるい認知科学の「Cognitive Unconsious」を意識しているところがある。

 もちろん、これはモデルや仮説だから、唯一の正解というのはないのだろう。エリクソニアンのスティーブン・ギリガンの「Theraputic Trances」の中に複数の説が提示されていたことでも明らかだ。また、意識ー無意識は単なるモデルや仮説だったりするので、これを誰にでも同じにように当てはまるというものでもないのだろう。

・THE CONSCIOUS AND UNCONSCIOUS IN CLINICAL HYPNOSIS 
・THE UTILIZATION THEORY OF HYPNOTIC SUGGESTION 
・TRUISMS UTILIZING MENTAL MECHANISMS 
・TRUISMS UTILIZING TIME 
・Exercises with Truisms 
・NOT DOING, NOT KNOWING 
・Exercises with Not Doing and Not Knowing
Two
・Indirect Induction by Recapitulation
・Body Orientation for Trance 
・Reorientation to Trance by Recapitulation Direct Suggestion for Inevitable Behavior 
 
随考

 ―― エリクソンっぽくなってきた? ――

    単なる個人の印象だが、普通の臨床催眠はクラシック音楽、エリクソンの臨床催眠は完全な Jazzという感じがしている。

 これは、ヤプコのこの表の真ん中がクラシック音楽のような臨床催眠で、右側が Jazzのようなエリクソンのアプローチということになるだろう。要は、楽譜どおりに演奏するか、テーマだけ決めて相手との相互作用で即興演奏をするかの違いがあるように思う。

 これに関して、比較的最近出版されている「The Oxford  handbook of Hypnosis(オックスフォード臨床催眠ハンドブック)」でもクラシック派とJazz派に別れるように思っている。実際には効果が大事であってスタイルのは違いは重要ではないだろうが。

 さて、もう少し細かい話を書いておきたい。

 エリクソンに限らず臨床催眠ではクライアントをトランスに導く。ただし、エリクソンの場合は、催眠暗示により引き出された催眠現象を即興的に利用しているのが見受けられる。

 具体的にはどうしているのか。ここで書いた、エリクソニアンのブラント・ゲアリーによれば、恣意的ではない自然な催眠誘導をして出てきた催眠現象がまずある。ここで見立てる。それに対しての介入として、2つの方向性があるという具合だ。一つは、「コンプリメンタリー」で相補的な催眠現象引き出す支援をして最初の現象にそれを当てる。もう一つは、「アイソモルフィック」で同型の催眠現象を引き出して最初の現象に当てるような形式になっている。催眠現象を覚めた後も引っ張りたい時には後催眠暗示を使う。

 これは一見対処療法にも見えるが、催眠下で現象に現象を当てること自体にもう少しシステム論的に問題を解決する意味合いがあるのだろう。興味深いテーマだ。

 さらに、ここで、ゲアリーの影響を受けているヴォイトとディレイニーの著作を引いて、エリクソン式の臨床催眠のサマリーを書いた。

 最初に恣意的な誘導を行わずに自然に出て来る催眠現象を見立る。もっというと催眠は見立てに役立つという具合だ。そこでその見立てに対する介入を考える。要は、最初の催眠現象に対して別の催眠現象を引き出して介入するという具合だ。

 ゲアリーの論文にあるように、別の催眠現象を「コンプリメンタリー」で相補的な催眠現象を引き出すか、「アイソモルフィック」で同型の催眠現象を引き出すのかが、治療戦略であり、利用(ユーティライゼーション)ということになる。逆に言うと、見立てもせずにセラピストの都合でいきなり退行催眠を始めたり、何かおもしろおかしく正の幻覚やカタレプシーを引き出したりということ自体、オイオイ一体何をやっているの?何の宴会芸ですか?ということが分かるようになっている。

 ちなみに、個人的には臨床家ではなく単なるインチキなコンサルタントだ(笑)。それでも、エリクソンの知見がどのように役立つのだろうか?と考えると面白いところがある。実際、コーチングやファシリテーションを異次元に引き上げてくれているので、これはこれで役に立っているように思う。ただ、エリクソンの場合、逆説的アプローチでもあるので、役に立たないことが一番役に立つのような格好になっているのが面白くもあり悩ましいところなのだが。


7月27日の進捗、1640ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 61.9%)


Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY


Hypnotic Realities The Induction of Clinical Hypnosis and Forms of Indirect Suggestion by Milton H. Erickson, Ernest L. Rossi & Sheila I. Rossi With a Foreword by Andre M. Weitzenhoffer



お知らせ:

ミルトン・エリクソンの本質を突き詰めたから分かったことがあります。

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(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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