2017年7月29日土曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 210日目


                                                                                                                            
 
  曖昧といっても、音韻論的、統語論的、意味論的、句読的・・、にどうなのか?

  というのはあれど、

  かなり文脈によって決まるところはあるなぁ(笑)。

   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 210日目について書いておきたい。 
 
催眠の現実

 「Hypnotic Realities The Induction of Clinical Hypnosis and Forms of Indirect Suggestion(1976)」著者はミルトン・エリクソンとアーネスト・ロッシ+シーラ・ロッシ。

    ミルトン・エリクソン論文全集の第四巻を読んでいる。そこに含まれていて、今回からの範囲に収録されているのは、「Hypnotic Realities : 催眠の現実」だ。個人的には英語で何度か読んでいる。また、書店でぱらぱらとしか確認していないが邦訳が出ている。

 そのため、ここの部分の読み方についてはルール変更して興味深いと思ったメモだけ記載しておくことにしたい。

・・・・・・・・・・・
 今日は以下の内容。

・Amnesia and Dissociation: Losing Abilities 
・Conscious and Unconscious
・Facilitating Latent Potentials by Implication 
・Evoking Early Experience 
・Ratifying Age Regression
・Facilitating Abilities via Dissociation
・Implication Even in Direct Suggestion
・Hallucination Training
・Trance as Common Experience 
・Awakening as a Creative Option
・The Double Dissociation Double Bind: Dissociation Training 
・Possibilities of Posthypnotic Suggestion 
・Exploring Identity Formation 
・Positive Motivation and Reward in Trance: Facilitating the Growth of Identit
・Spontaneous Awakening in a Give-and-Take Relationship 
・Making Trance Safe: Separating Conscious from Unconscious 
・Structuring Frames of Reference for Clinical Inquiry 
・Distraction to Maintain Separation Between Trance and Waking Patterns
・Making Trance Safe 
 
随考

 ―― 微妙なニュアンスを読む ――

 エリクソンとロッシの対話を読んでいると、ほのかな感じが面白い。文脈によってどうにでも取れる許容的なニュアンスのバリエーションを密かに楽しむ感じだ。平易な英単語でこれだけ細かいニュアンスを表現は英語でも日本語でも個人的にも参考にしたいところだ。

 さて、この対話の状況はおそらくこうだ。
 
 エリクソンとロッシがオープンリールのカセットデッキで心理セッションの録音を後日再生している。スピーカーから、エリクソンの抽象的な催眠言語パターンが流れてくる。
そして、テープを止めて、てロッシが質問し、エリクソンの解説が続く、再びテープを聞く、テープを止めて・・・の形式が繰り返される―――おそらくこの対話も録音されて、後にテープ起こしがされている ―――とこんな感じだ。

 セッション中、エリクソンは、あまり瑣末なことは話さない。抽象的で曖昧な感じだ。それだけに、それを聞いているクライアントは、頭の中で想像力をたくましくされるところがある。もちろん、言葉は実態ではないので抽象的だし、曖昧といっても、統語論的(文法)、音韻論的、意味論的、句読的・・・などがあるので本当のところエリクソンのテープを聞かないと分からないところがある。

 それで、クライアントから、ある種の心身状態、アイディア、そして記憶などを引き出す支援をする場合、支援者は、あまり喋りすぎないというのもポイントなのだろう。あくまでも相手の自律性にしたがって抽象的で曖昧な言語パターンを投げ込み、反応を待つ感じで、心身状態などを引き出す支援だけする―――そのために言語パターンの多くは抵抗を回避するために間接暗示のスタイルになる―――。 

ちょっとだけ個人的に気になったことを書いておきたい。

一つは退行。


You can dream of yourself as a small child, wondering who that child is. 

あなたは小さな子供として自分で夢を見ることができます、その子供が誰なのか疑問に思っているでしょう。


 治療の初期でいきなりトラウマ的な経験を思い出して再体験し嫌な気分になってもらっても困る。だから、自分の経験として思い浮かべてもよいし、それが難しいなら、傍観者として他人の様子を思い浮かべてもよいように抽象的で曖昧に話す。抽象的で曖昧だということは、これを文脈によって補完されることになる。さらに、含みとしては、「夢を見ることができる。(ただし、色々な方法でそれができる)」となる。

 さらに、今日のところに、二重解離のダブル・バインドのパターンがある。普通の人が読んだらおそらく、「なんのこっちゃ?」だ(笑)。


You can as a person awaken, but you do not need to awaken as a body. 

人(人格、意識)としてのあなたは目を覚ますことができます、しかし、体としては目を覚ます必要はありません。

   
 ちなみに Wikipediaに解離の説明がある。
 
 解離と聞くと、スタンフォードのアーネスト・ヒルガードが理論化して臨床催眠の理論の一つである新解離理論(Neodissociation Theory) を思い出す。しかし、小難しいことは保留しておこう。ここでは「まるで他人を見るように自分自身を外から眺めているという経験をすることがある」というくらいの意味でゆるく解釈しておくことにしたい。

 エリクソンはこの心身状態、あるいは催眠下で引き出される催眠現象としてこれを利用した。過去や現在の問題の場面を思い描いても視点と体が解離しているのでクライアントは普通は嫌な気持ちになるような場面でも、冷静に観察できるようになるだろう。おそらく、パラドクスに陥っていて自分自身を客観視できないような時にこういうダブル・バインドが有効だ。このあたりで書いたパラドクスだ。

 余談だが、ゴーグル型のディスプレイを着けて、自分の体を後ろから見ているような映像を写すと、まるで幽体離脱しているような感覚を味わえるという実験がサイエンティフィック・アメリカンに掲載されていた。このあたりで書いた。これも解離の定義として「まるで他人を見るように自分自身を外から眺めているという経験をすることがある」という意味ではそうなのだろう。エリクソンの場合は、言葉でこういった状態を誘導したが、視覚や対感覚の錯視が発生するようなデバイスを使うと同じようなことが起こるということだろう。


7月29日の進捗、1656ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 62.5%)


Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY


Hypnotic Realities The Induction of Clinical Hypnosis and Forms of Indirect Suggestion by Milton H. Erickson, Ernest L. Rossi & Sheila I. Rossi With a Foreword by Andre M. Weitzenhoffer



お知らせ:

ミルトン・エリクソンの本質を突き詰めたから分かったことがあります。

 組織のパラドクスを解消し、組織の認識、行動の変化を支援する、
「変化・創発ファシリテーション」のオンデマンド、オンサイト講座を開始いたします。

詳細は、こちらから。


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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