2017年7月3日月曜日

ミルトン・エリクソン論文全集を読む 184日目


                                                                                                                            
 
  人が思い込みや習慣となっている行動を変化させるプロセスは

  クライアントの本当に望むことを無意識から引き出した

  エリクソンの技法の中にあるなぁ(笑)。


   <ひとりごと>




はじめに

 備忘録として、



 お正月から、ミルトン・エリクソンの論文全集『The Collected Papers Milton H. Erickson』[1] を読んでいる。読み方のルールはここで書いた。

 184日目について書いておきたい。

精神病への催眠療法

「Hypnotherapy with a Psychotic(1940s) 」著者はミルトン・エリクソン。発表されなかった原稿。

    クライアントはヘビフレニック型の統合失調症とされる男性で精神病院に入院している。彼は一日に数回、幻覚として見える人物に叫び声を上げる。病棟のベッドの周りを回ったり、ベッドの下で錯乱を起こす。また、椅子やテーブルを見ては同等の錯乱を起こす。彼は大学教育を受けているにもかかわらず、こういった混乱のさなかにある。興味は、こういったことが起きていないときの知的な観察や凝視だった。彼は仲間の患者や看護師などを熱心に観察している。しかし、直接接近していくとじっと凝視していることは止めた・・・その他ビッグ・ジョーなる大男の患者が叫びをあげるなどなかなかのカオス感がある・・・・

 このようなクライアントをエリクソンが治療することになる。

・・・・・・・・・

 このあたりは後にベイトソンたちのグループがダブル・バインドを統合失調症の仮説として定式化することになるが、1940年代はエリクソンが何をやっていたのかは、ある意味エリクソン自身にも研究者にもわかっていない。エリクソンは自身の原稿の中で間接暗示を使いクライアントを催眠誘導することだけ書いている。

ASCH年次総会での公演

「Symptom Prescription for Expanding the Psychotic's World View (1977)」著者はミルトン・エリクソンとジェフリー・ザイク。1977年に The Amecian Society of Clinical Hypnosis でザイクにより発表された内容。

 エリクソニアン・アプローチの原則について語られている。まず、エリクソンは人は動作だけではない認知と感情にも特徴づけられていること。人は一人ひとりが違う考えを持っていること。それを尊重する必要があること。

 エリクソンが1930年代にマサチューセッツ州のウスター国立病院で精神科に勤務するようになったときのことから語り始める。クライアントは拘束されて精神病棟に収監されることを望んでいた。理由は自分が殺されると思っていたからだ。窓の鉄格子だけでは弱いと考えそこにさらに紐を巻いた。壁の割れ目には新聞紙を突っ込んで壁を強化した。エリクソンは彼の世界観を受け入れた。そして、部屋だけではなく病院全体が彼を守っている施設だと示唆し、それを州全体に広げ、そして全米に広げるように示唆した・・・・彼が殺人者から狙われているという世界観は認めた、そしてエリクソンが示唆したのは、同じように彼が色々な仕組みで守られているということだけだった、このクライアントは病院内を比較的冷静に歩き回って過ごせるようになった・・・・

 要はここで大事なことはクライアントの全人格を認め、その世界観を利用して不都合な振る舞いなどを修正するように示唆することだ、ということだ。

早漏の催眠療法

「Hypnotherapy with a Psychotic(1930s) 」著者はミルトン・エリクソン。発表されなかった原稿。

    クライアントは30歳の未婚の男性、早漏のための治療を受けた。20歳の時の最初の性的経験で発生した。この男性はこれが不道徳のための罰であると感じた。無能であると感じ結婚する前に治す必要があると感じていた。

 ・・・・・・・・

 このような感じで話が始まる。


随考

――変化のプロセス――

   個人的に心理療法を行おうという企てはないのだが、人が認識の枠組みや行動をどのようなプロセスで変化させるのか?というところには興味がある。これは、企業でチェンジ・マネジメントなどを行う時も使える共通の理屈だというわけだ。

 頑固な信念、あるいは思い込みを修正して新しい認識の枠組みで新しい行動を取るあるいはそういった習慣を身につけることを支援するプロセスを心理療法の知見に求めるというのはとても面白い試みだ。

 さて、ネットに「Stages of Hypnotherapy」というドキュメントが落ちていた。内容からするとカルガリー大のアッサン・アラディン教授による文章と推測できるがこれを読んでみた。この前提にあるのは、この表で書いた真ん中にある学術系の標準的アプローチについて書かれており、心理療法に催眠を使う場合の8つのステージについて書かれているのがこのドキュメントだ。

 逆にいうと、これとエリクソニアンを比較すると、エリクソニアンは無意識が起こしている観念運動の反応を使う、メタファーを使う、催眠現象を利用する、催眠感受性テストは行わない・・・など色々な違いがあるがこれを比較してみるのも面白いだろう。ここで書いたHypnosis in Clinical Practice: Steps for Mastering Hypnotherapy」を読んでみるとエリクソンは見立てとして迷ったらセラピストの恣意的な判断を停止してクライアントの無意識の反応を観察し、クライアントの無意識に本当は何をしたいのか?をきちんと確認している様子がよくわかる。
 
7月3日の進捗、1452ページまで(全体 2,648ページ、進捗率 54.8%)


Volume IV
INOVATIVE HYPNOTHRAPY

Hypnotherapy with a Psychotic Milton H. Erickson Unpublished manuscript, circa 1940s

Symptom Prescription for Expanding the Psychotic's World View Milton H. Erickson and Jeffrey Zeig This paper is a portion of 'Symptom Prescription and Ericksonian Principles of Hypnosis and Psychotherapy' presented by Jeffrey Zeig, Ph.D., to the 20th Annual Scientific Meeting of the American Society of Clinical Hypnosis, October 20, 1977, Atlanta, Georgia. 

Posthypnotic Suggestion for Ejaculatio Praecox 
Milton H. Erickson Unpublished manuscript, circa 1930s. 



お知らせ:

ミルトン・エリクソンの本質を突き詰めたから分かったことがあります。

 組織のパラドクスを解消し、組織の認識、行動の変化を支援する、
「変化・創発ファシリテーション」のオンデマンド、オンサイト講座を開始いたします。

詳細は、こちらから。


(つづく)

文献
[1]http://ori-japan.blogspot.jp/2017/01/collected-papers.html


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